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新しい世界へ~オーストラリア滞在記③~

2024年、秋。
私は友人と夢を叶えるために、一歩踏み出してみた。オーストラリア。

だけど気が付いた。滞在費を全く持ち合わせていないことに。

どうするもこうするもない。行くと決めたんだから、行く。
飛行機に乗る。海外保険は掛ける。
あとは私自身が、自分の足を大股で一歩、踏み出す。ただ、それだけだ。


~Day 0~
成田空港。
コロナぶりの海外。4年ぶりだ。
海外の記憶などすべて忘れてしまった。

搭乗口の前でオーストラリア行きの飛行機を待っていると、自国へ帰ると思しきご家族一行がテーブルに4人、腰かけて座っていた。84番ゲートの前のカフェで買ったコーヒーを飲んでいる。手に持ったテイクアウトのアイスコーヒーの容器が小さい。

そうだった。日本の普通サイズを飲んでいるであろうが、あちらの方々にとっては小さいのだった。そういえば、私が海外でステーキを注文した時に大きすぎるサイズのものが出てきたなと思い出す。規格が違うのだ。

彼らが何を話しているのか聞こうとしたが、全くわからなかった。

そうだった。英語が母語の方々はもちろんのこと英語が早いんだった。聞き取れない。早さについていけない。

「YEEEEEEEEEEEEEEES!!!!!!!!!!! Haaaaaaaaaaaaaahaaaa!!!」
ご家族のうちの一人が、身振り手振り色んなジェスチャーをし話した後に、大声でイエースと言いみんなで笑い転げていた。

そうだった。日本のコミュニケーションの仕方とはまた違うんだった。話す内容も、結論を先に持ってくるなど、話法の構造も異なるのだった。

だんだん思い出してきたぞ。
思い出してきたが、大丈夫だろうか?何もかもすっかり忘れてしまっている。もはや極力、現地で誰とも会話をしたくない気分に襲われた。

オーストラリアに行きたいような、行きたくないような。
しかし、留学するわけでも就活するわけでもない。何するわけでもない。私がプレッシャーを感じることは無い。

有り金2万しかないが、just fun!という思いと、どうにもならなかったらどうする?と考え込みたくなるような。相反する気持ちを自分の中に感じる。

振り返れば、オーストラリアへの道は、モーセの十戒のように開いていった。パタパタと音を立てて道ができる。その先に何があるのか。見たい。
見たいが、進んでしまったら最後、引き返せない気がする。でも、道を開けてしまった。というか私が開けた。腹をくくって進むしかない。私が見たい世界がそこにある。もう、戻れなくたって良い。でも先に進むのか、私?

引き続き楽しそうに話すオーストラリアン家族4人の奥には、バーカウンターのようなスタンド形式の、携帯電話の充電ができる縦長の机があり、椅子が3つ置いてあった。私はその真ん中で、携帯を充電しながら、ひとり背筋を異様に伸ばし真っ直ぐに前を向いて、ただただ壁を見つめていた。見ていたのは未来でもない過去でもない、今だった。


同じ飛行機に乗ると思われた、左隣の少年は自作の英語単語帳を必死に暗記している。右隣の少女は携帯を横にして、韓国ドラマを日本語字幕で見ている。人それぞれの時間の流れ、それぞれの待機方法がある。

そして私は歯を磨く。

つづく
次回
渡航目的がDay1にして偶然達成。もう帰る?~オーストラリア滞在記④〜!?

おいおい、始まっちゃうぜ!?
隣が空いていたので使えた。
目を閉じて開ければ新しい世界だ。
have a good Fright!


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