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イオンを創った女 東海友和

「決して安易な妥協はしない。安易な妥協は後に禍根を残すからである」

四日市の岡田呉服店を岡田屋、ジャスコ、イオングループと
育てる基礎を築いたのが、小嶋千鶴子氏である。

呉服屋のお嬢さんとして育っていたが父、母が相次ぎ亡くなる。
店を切り盛りしていた姉も亡くなり
千鶴子氏は弱冠23歳にして社長に就任する。

社長になった千鶴子氏は社員の教育…特に躾と知識に力を入れる。
ジャスコ時代には「ジャスコ大学」を作り、実務家教育を目的とした。
その後「ジャスコ大学大学院」まで作りトップマネジメントを育成した。
経営計画、マーケティング、経営学、財務管理、国際情勢などなど
名だたる大学の教授陣が講師として控えている。

千鶴子氏は社長職にこだわらず、弟の卓也氏が20歳になったときに
社長を卓也氏とし、自身は役員として位置づく。
それも60歳で退任、常勤監査役に就任し、65歳では相談役となる。

一環して会社のために先手を打ち、問題があれば真正面から対峙する
その姿勢に驚いた。
社員になにかあると、社員のファイル(個々人で作成)を見て個人データを確認し本人と話す。
表面化した問題が起こるその原因まで掴み、対策を立てる。

意図的な配置転換を行い、長く同じ部署にとどまらないようにし
派閥も作らないように運営する。

正直、こんな会社があったのだと驚いた。
不正が当たり前のように横行し
世間に公になれば、頭を下げる。
不正がニュースで報道されても「またか…」と思うような時代に
ここまで厳しく運営している会社があるのだと感動した。

驚くことに小嶋千鶴子氏はこの文章を書いている
2018年12月10日現在、102歳でまだ存命である。

この本は会社経営をするにあたり、なにが大切なのかを
書いてある。
それも理想ではなく実際に行ってきたことである。
トップとはどうあるべきなのか。
引き際の見事さ。

一人の女性としての生き方。
会社運営をするためのノウハウ。
ビジネス書でもあり自己啓発書でもありドキュメンタリーでもある。

【目次】

はじめに
第1章 小嶋千鶴子を形成したもの その生い立ちと試練
第2章 善く生きるということ 小嶋千鶴子の人生哲学
第3章 トップと幹部に求め続けたもの 小嶋千鶴子の経営哲学
第4章 人が組織をつくる 小嶋千鶴子の人事哲学 
第5章 自立・自律して生きるための処方箋
終章  いま、なぜ「小嶋千鶴子」なのか?プ

レジデント社
218ページ

著者 東海友和三重県生まれ。
岡田屋(現イオン)にて人事教育を中心に総務・営業・店舗開発・新規事業・経営監査などを経て創業者小嶋千鶴子氏の私設美術館の設立にかかわる。
現在、(株)東和コンサルティングの代表取締役モットーは「日計足らず、年計余りあり」

著書
「イオン人本主義の成長経営哲学」
「商業基礎講座」など

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