「因数分解」と「かけ算」でゼネラリストだった私の悩みが解決した話
「私って、結局何者なんだろう」
多くの人が一度は考えたことがある問い。
特にキャリア迷子の経験がある人なら、より切実かもしれない。
ゼネラリストの悩みって、結局のところ「確固たるアイデンティティがない」ことに集約されると思っている。
「私=〇〇です」
そう胸を張って言える肩書きが欲しかった。
前回、子育て世代のキャリアとゼネラリストについて書いてみたが、もう少し掘り下げてみる。
永遠の”なんでも屋”
私も例に漏れず、典型的なゼネラリスト。
アパレル業界でマネージャー、MD、IT系の業界で事務、デリバリー。
所謂「一貫性のないキャリア」だ。
何者かになりたくて、ライターをやってみたり(2年で辞めた)、マーケティングにキャリアチェンジしてみたり。
まだ試行錯誤は続いているが、ようやく気付いたことがある。
マーケティングを学んだら「マーケター」になれるものだと思っていた。
ライティングを学んだら「ライター」になれるものだと思っていた。
でもそこでまた新たな問いにぶつかるのだ
「マーケターって、何が得意なんです?」
「ライターって、何のライター?」
そう、結局マーケターと一言で言っても実は幅広くて、SEO、MEO、SNSマーケ、広告運用、テレビやディスプレイCM……etc
ライターにも色々な得意分野がある。SEOライター、YouTubeの台本ライター、セールスライター、コピーライター、インタビューライター、旅ライター、ファッションライター……etc
ある程度スキル、経験がある分野もあれば、もちろんまったくもって未経験な分野もまだまだある。
細分化された専門分野の前で、またしても「スペシャリストにはかなわない」と思い知らされる。
つまり、何者かになりたくて新しいことをはじめてみたのに、また同じ場所に戻ってきてしまったのだ。
ゼネラリストの強みって何よ?
じゃあゼネラリストの強みって何なのよ?と問われると、一般的にはこんな風に言われることが多い。
新しい環境でも適応力がある
コミュニケーション力がある
共感力がある
問題解決力
変化に柔軟に対応できる
チームの潤滑油
わかる、わかるよ。
よく言われるやつね。
抽象度が高くて、ふわっとしてるやつね。
でも違う、そうじゃない。
「違う違う、そうじゃ、そうじゃなぁい♪」と脳内BGMが鳴り響くくらいにはそうじゃないんだ。
具体的な強みが欲しい
だって考えてみてほしい。
「私の強みはコミュニケーション力があることです!」
もちろん素晴らしいことだけど、就職活動中の大学生でももう少し気の利いたことを言うだろう。
アラサー、アラフォーの転職で、1番の強みがコミュニケーションじゃ、なんだか心許ないのだ。
なにか、武器が欲しい。
スキルという鎧で、自分のキャリアを武装したい。
この鎧を着たらきっとパワーが湧いてきて、自信を持ってキャリアを歩んでいける。
そんな強みが欲しかった。
じゃあどうするのか?
因数分解して、動詞にする
自分だけのスペシャリティを探すしかないのだ。
平たくいうと「得意を見つける」
ただ、それだけ。
「人より得意なことなんてないから困ってる」という人でも
得意なことが明確になる方法。
それが「動詞化」だ。
好きなことを動詞にする、というのはUSJのV字回復で有名な森岡毅さんがお話しされていたことでもある。
問題解決力とか、コミュニケーション力のような「〜〜力」だと、まだ抽象度が高い。
勉強とかスポーツとか、名詞でもない。
なんだかぼんやりして、輪郭が見えない。
もっと因数分解して、かつ動詞にするのだ。
例えば問題解決力を分解すると、こんな感じだろうか
整理する
分析する
俯瞰する
仮説を立てる
戦略を立てる
調整する
検証する
仕組み化する
こうやって経験を因数分解していくと解像度がぐっとあがり、どこに自分の強み、得意があるのか見えてくるのだ。
分解する具体的な方法
日常の仕事や生活で「できている」ことを書き出す
それを具体的な動詞に分解する
分解した動詞の中で「得意、自然とできてしまう、ストレスなくできる」ことを探す
他の人と比べなくてOK。判断基準はあくまで3。
洗い出すと、いくつか重複している動詞が見つかるはず。これが自分の「得意、強み」。
かけ算で、独自の専門性を作る
こうやって強みを見つけ出しても、確かに世の中にはもっとその強みですごい人はいる。ごまんといる。
だからこそ、別の強みとかけ算するのだ。
強み×強み、でもいいし、
強み×知見や経験がある業界・業種(=ドメイン) や
強み×属性(=誰に向けたものか)でもいい。
例えば
「分かりやすく解説する」×保険業界の経験=複雑な保険の仕組み・商品を初心者にも分かりやすく解説する
「調整する」×「言語化する」=暗黙のルールや慣習を明文化して、マニュアル化、仕組化できる
分解した動詞をかけ算できたとき、それは誰にも真似できない、自分だけの専門性になるのだ。
ゼネラリストであることに悩んだことがあるなら、一度”因数分解”してみるのも良いかもしれない。
きっと、今まで見えなかった自分の強みが見えてくるはずだ。