スパイダースのゴーゴー向こう見ず大作戦を観賞したんだ
亡き母がGS世代で、私が幼い頃はザ・タイガースが期間限定再結成してたのあり、よく、ザ・タイガースやザ・スパイダースを聞かされてました。
私はザ・スパイダース派で、隠し芸大会で万能っぷりを発揮するマチャアキ、寒いギャグと端正な美貌がアンバランスな順ちゃん、飄々としたムッシュが好きでした。
で、先週から二週に分けてBSプレミアムにてスパイダースの映画が観られるのを知り、早速録画しました。
一作目のスパイダース向こう見ず大作戦は、どこか古きよきMGMのミュージカルのような一作。
冒険旅行をし、凱旋帰国したスパイダース一同が見初めたのは、セミプロ歌合戦のチャンピオンである美女、チノ。
チノはバックバンドのメンバーの一人が恋人だけれど、その煮え切らなさに苛立ち、当て付けのようにどんな障害にも負けずに突き進む人を恋人にしたいという。
その言葉を真に受けたのはスパイダース一同。
横濱から東京までとにかくまっすぐ突き進もうという正気の沙汰とは思えない、マジキチな発想で突き進むスパイダース。
住居侵入はもちろん、廃ビルをなぎ倒したり、屋根から屋根へ飛び越えたり、途中行く手を邪魔する牛が列車に撥ね飛ばされ、その副産物なステーキをおいおい泣きながらムッシュがぱくついていたりと無茶苦茶。
全体的にスパイダース面々の棒読みっぷりが目に余りますが、それでも、マチャアキと順ちゃんの芸達者さの片鱗を感じ、ベースのかっぺちゃんこと加藤さんのほわわんさが素朴で微笑ましくなります。
ストーリー性もそれなりにあり、スパイダースの向こう見ずすぎる行動に大人たちが意味があるのではと議論するさまにスパイダース自身は困惑するも、チノが振り向いてくれるならとまっすぐ歩くのをやめないという、大人の思考と若者の行動の隔たりと、何時の世も変わらないテーマを描いています。
チノの彼氏を演じる山内賢さんは仲間の支えで突き進もうとしては怖じ気づくヘタレっぷりが微笑ましく、空回りするさまがいとおしいです。
チノを演じる松原智恵子さんは清楚で可憐なのにどこか小悪魔さがあり、スパイダースと山内賢さんを翻弄するのも納得な美人さです。
ストーリーの中に挿入されるスパイダースの楽曲も、夜のプールサイドや古きよきセットと、さながら、夢は努力すれば叶うと信じて疑わなかった時代の象徴のような背景の中で歌われていて、それらがきら星のように光り、耀いている、そんな愛すべきGS映画がゴーゴー向こう見ず大作戦だと思うのです。
文責・コサイミキ
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