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洋食 インペリアル

大阪にはおいしい洋食の店がたくさんあります(いや、ありました、かもしれない)。

洋食は日本で独自に進化を遂げたジャンル、といった人がいましたが、僕もそう思います。ある意味、この島国で「ガラパゴス的に」完成されたものと言っていい。

ハンバーグ、海老フライ、オムライス、チキンライス、コロッケ、メンチカツ・・・・とくるラインアップに、大阪の特徴は、ここにビフカツが加わるところ。これがまた旨いんですよ。

大阪に出てきたとき、これらの料理を「昭和」感バリバリの店で食べるのが至福の時間でした。実は、こういう店、結構しっかりしたお値段(大概1000円は超える)なので、やはり学生では入りにくい。こんなところで昼飯を食えるのは、やっぱり社会人じゃないと。だから、そんなことができるようになった、っていうのがなんとなく大人になったみたいで嬉しかったのかもしれないです。

ここに書いたインペリアルという店は、二号線沿い、NTT堂島のすぐ近くにありました。福島に部屋を借りて住んでいた僕にはとりわけ通いやすい店で、何度行ったかわからないです。いい具合に焼きあがったハンバーグにタプタプにかかったデミグラスソースが絶品。最後残ったソースをフォークですくって食べたりしてましたね。行儀悪いけど。

昼ごはん時は、いつも大阪のオジサンたちでいっぱい。席に着くと、油まみれの前掛けをかけた、外国航路出身の名物オヤジさんが厨房に立っているのが見える。その雰囲気がなんとも言えない。どっしりとした安心感があって、ああ、また今日もここにこれてよかった、またがんばろう、って思えた。いつまでもこんな時間が続いていくものだと思っていた。

でも、僕が福島を去る時が来るように、時間はこの店も押し流していく。

このオヤジさんが亡くなって、代が変わって、しばらくは続いていたのだけれど、昨年閉店したと聞きました。いつかそういう日が来るのはわかっていたけれど、本当になると寂しい。

インペリアルを出て、左に曲がるとそこには「出入り橋きんつば屋」があって、そこできんつばを買って部屋にもどり、その日の夜食と次の日の朝食にしてたこともありました。

きんつば屋は、健在なんだなあ。独特の衣感のあるきんつば、また、買いに行きたくなってしまいました。


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