怒りは敵と思え。
少し前から「アンガーマネジメント」が注目されていますが、怒りのマネジメントが必要だという考えは過去からあるようです。
徳川家康の「遺訓」には、「怒りは敵と思え」という一節があります。怒りは必ず相手の怒りや恨みを招き、結局は敵を増やしたり身を滅ぼすことにつながる、というのがその理由ではないでしょうか。
2020年の6月からのパワハラ防止法の施行により、改めてその必要性が認識されているかもしれません。
アンガーマネジメントにおいて、一つ重要な考え方は、「怒りは自分で生み出している。」というものです。「いやいや、だってあの人があんなこと言うから。」とか思うかもしれませんが、怒りという感情がどこから生まれるのかを知ることで、自分自身の怒りをコントロールすることが可能です。
怒りの源泉には大きく次の2つがあります。
1)「べき」という信念
人はそれぞれ価値観を持っていて、「~すべき」とか「こうあるべき」という信念があります。
たとえば、後輩は先輩にしっかり挨拶をする「べき」、と強く思っている人と、そうでもない人がいたとします。
強く思っている人は、自分もその行動をしっかりします。しかしその反面、自分に対してそれが守られないと、怒りに変わります。
「後輩は先輩にしっかり挨拶をするのが当たり前だろ!」という感じですね。この「当たり前」「普通は」「当然」「常識」というワードは黄色信号です。それはその人の中での「当たり前」であり、他人にとってはそうでないかもしれないのです。
極端な例では、ひろゆきさんが「遅刻に怒るほうがアホ。」とか、ホリエモンが「電話をかけてくるやつはバカ」みたいなものですね。
こうしたときにふと立ち止まって、「これは思い込みなのかもしれない。」と考えることが大切です。
2)防衛感情
自分の大切している考え、モノ、人を悪く言われたり攻撃されたりすると、それを守りたいと思い、怒りの感情が湧きます。
怒りは「二次感情」だと言われます。つまり、何か一つ目の感情(一次感情)があって、その次に怒りが二次感情として湧くんですね。一次感情には、悲しみ、困惑、虚しさなどがあります。
たとえば、冷蔵庫に取っておいた大好きなプリンを他人に食べられたとします。このとき、一次感情として虚しい、悲しいといった感情が湧きます。この一次感情を守るために怒りという感情を抱くらしいのです。
なので、何かに怒りの感情を抱いた場合、その一次感情は何だったのか?を認識することができれば、次の行動が変わってきます。
怒りだけに心を奪われてしまうと、相手に対する攻撃ぐらいしか選択肢がありませんが、一次感情を認識できれば、「リクエスト」に変換することができます。
つまり、「本当はこうして欲しかったよ。」というリクエストですね。
怒りをリクエストに変換できるかどうかが分かれ目となります。
この2つの原因を理解しているだけでも、怒りをコントロールできる可能性が少しは高まるのではないでしょうか。