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おじさんの読書日記 『正欲』


桐島が部活をやめる衝撃から何年経っただろうか。

遅まきながら『正欲』読んでみた。


う〜ん、痛い。

アイスピックと化した言葉が突き刺さる。

共感 も 違和感 も 気づき も突き刺さってくる。

なかでも突き刺さったのは、心理士によって書かれた巻末の「解説」にある "クライエント" という単語だ。

"クライアント" でいいだろがいぃ、 そこはぁ、 ふつーにぃ。

"クライエント" が放つ違和感のせいで内容が吹っ飛びそうだわ。


...いや、吹っ飛ばない。

当たり前だがそんなことではビクともしない強靭な内容。


"クライエント" を使う人間がマイノリティだとして、
"クライアント" 側に立つ ふつー人間 は、それを排除・隔離してはいけないのだ。

それが多様性なのだからw



......冗談はさておき、
言葉が持つ可能性と限界性の中で生きている限りはその中でどうにかして生きていかなければならない。

「どうにかして」というのには諦めも含まれるのだが。


言葉より高次な思念伝達の手段があれば齟齬や無理解は起きまいが。


『無職転生』のロキシーの郷里の人たちが使う特殊スキルである "念話" ではまだ不十分で、これはもう人類は富野由悠季が発明した "ニュータイプ" になるしかあるまいよ。

いや、"分かり合える" がコンセプトのニュータイプに進化したとて、アムロ と シャア は結局対立している。

「悲しいけど傷つけ合うことは宿命なのよね」
と、スレッガーも言っている。
(言っていない)


悪意のない言葉だとしても、それが人を苛立たせたり傷つけてしまうことがあるから、もう何も話せなくなるし、話したくなくなる。

そんな経験誰しも心当たりがあるだろう。

おじさんが大好きな映画系YouTuberの 沖田遊戯 が映画版『正欲』の感想の中で言ってるように、とにかく「誰にとっても生きづらい世の中」なのだ。

そんなこの世で他者を傷つけずに生きていくことの難しさ。

自分が傷つかずに生きていくことの難しさ。


どうやって生きていこうか。



「この世界で生きていくために、手を組みませんか」




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