キャラクターが動き出す瞬間
小説を書いていると、動かしやすいキャラと動かしにくいキャラがいます。どちらも自分で生み出した奴らのはずなのに。
また、執筆の興が乗ってくると、「キャラが勝手に動いてくれる」状態に陥ることもあります。
作者がどこまでキャラとシンクロすると、キャラは自在に動き始めるのでしょう?
それはきっと、書き手の数だけ答えがある問いでしょう。
物語の思いつき方、ふくらませ方、書き方は十人十色です。
私は最近、頭で物語をこしらえることが多いので、書き始めた時点でキャラクターにそれほど共感できていない時があります。あらかじめ決めてあるキャラクターの生い立ちや性格に従って、「この子ならこういう言動をするだろう」と頭で判断しながら書いていきます。「自在に動く」という状態とはほど遠いです。
自分にとって描きやすいタイプのキャラクター(例:正義感の強い脳筋)なら、深く考えずに動かせますので、とても描きやすいです。
ですが、物語を書いていくうちに、キャラクターに深い思い入れを持てるようになり、キャラクターの喜怒哀楽を共有できるようになります。そうなると、意識しなくてもキャラクターを自在に動かせます。まるで自分自身の手足のように。
私は別HNでBL小説を書いていますが、BLに関しては、「受けに対する萌え」が持てない限り、執筆どころかプロットさえ作れません。
書き手である自分が萌えているときは、すごい勢いで執筆が進みます。自分の内側から文章があふれ出してくる状態です。
「創作の原動力は萌えなのだ」と実感しますね。
お仕事で日本を舞台にしたBLを書かなくてはいけなくなり、困り果てています。私は、書きたいストーリーに合わせて作品世界をでっちあげるのが好みです。日本を舞台にして書いたことはほとんどありません。
とりあえず、やくざとか地上げ屋とかが出てくる話にしよう、と思い立ちました。バイオレンス主体ではなく、あくまでラブストーリーですので、現代の半グレとか出したらハードになり過ぎます。
地上げ屋が活躍していた20世紀末を舞台にすることにしました。
となると、主人公をチェーンスモーカーにしてもいいんじゃないのかな? その方が時代感が出ますので。
受けの煙草はセブンスターで、百円ライターを愛用。
攻めは、ラークを吸っていて、ライターはダンヒル。
(もちろん、パッケージの半分以上が警告表示で占められるようになる前のデザインです)
そう決めた瞬間、キャラたちのイメージが脳内でものすごい勢いで固まり始めました。
萌える……! 私はこの受けに萌えられる……!
あれやこれやのシーンが次々と思い浮かび、パズルがはまるようにプロットが組み上がっていきます。
まさか、煙草の銘柄を決めただけで、キャラが動き始めるなんて。
来週の頭までにプロットを提出するのが個人的な目標でしたが、どうにか達成できそうです。
(しかし、せっかく決めたこの銘柄設定も、本文には登場させない可能性が高いです。煙草の名前なんかストーリーには関係ありませんから。自分が萌えていられれば、それでいい……)
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