春のじぃさま
大好きな近所のじぃさま
年が明けたらまた会いに行こう
なんて思ってたら、2月の寒い日の朝、天国へ行ってしまった
行けばよかった
こうしとけばよかった
そんな後悔は尽きないけど
それよりもこの事実を受け止めて
どう過ごすかが大切に思えた
心の中でずっと色んなことを話しかけるけど
ありがとう
しか出てこない
地域のこと、人のこと、農業や狩りのこと、
色んなことを毎年、春の苗を眺めながら
いっぱい喋りまくって…
今思い出すのは
『俺の同級は皆逝ってしまったしなー』
という言葉
何でもやりたがりの私の事を『嬉しがり』と言っていたこと
人懐っこい
笑顔が可愛い
チュプに吠えられまくっても来てくれる
軽トラを卒業した後も、家の窓から畑にいる私たちを見守ってくれる
なんだかんだで地域で一番愛に溢れてる
夫婦で辛いことあったらどうしてたの?
地域でこんな事あったらどうしたらいいの?
聴きたいことがわんさか出てきては、涙も出てくる
この軽トラでいつも地域をまわっては、
おいっ!
と声をかけてくれてた
ある日は、畑に刺身を持ってきてくれて、
たかさんと三人で畑の隅で食べた
わざわざ持ってきてくれたことが嬉しくて、
すごく美味しかったのを覚えてる
亡くなった数日後、じぃさまをおもって大好きなお寿司と一緒にいただいた
どんだけ偉大な事をしたか
どんだけきれいな言葉を並べたかでなく、
どれだけ私たちのことを愛をもって見守ってくれたか
それをごくごく当たり前のことで自然にしていたじぃさま
どんな時でも、ひょいっと軽トラから顔を出して、声をかけてくれる
私たちの事を可愛がってくれていたじぃさま
そして私たちもじぃさまが好きだ
私たちが尊敬する一番の存在
悲しみは消えないけど
どんな人間でありたいかって考えたとき
じぃさまのような人間でありたいって思う
じぃさまの存在があって、自分たちが毎年春を迎えていたことに、
いなくなった春にやっと気づいた
私たちと出会ってくれて、ありがとう
今もきっと見守ってくれていると信じて
遅ればせながら種を蒔く
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