春のじぃさま
もうすぐ90歳になる近所のじぃさま
去年まで車に乗ってウロウロしてはお喋りに来てくれたけど、
今年から足腰が悪くなったのもあり、免許を返却したじぃさま
冬はすっかり冬眠し、
春になって杖をついて散歩するのが日課になった
じぃさまの顔を毎日見る季節になると春だなぁと感じる
我が家のビニールハウスに入っては、腰かけて、
昔話に花を咲かせる
今日は街まで降りるから、一緒にドライブに
「わしも色々やったわてー」
が口ぐせで、昔はこんなことをした、あんなことをした、そんなこともした
と誇らしげに語ってくれる
今日は急に改まって
自分の生まれ育った地域を眺めながら
『いいものは悪くなるし
悪いもんはよーなる』
と
ふむ…
日々の変化はわからないほど小さいけれど、
長い時間、時代の末に逆転するほど、
大きく変わることがあるってことかな
なんでも自分の思う通りにはいかない
どうにもならないもあることを語っている横顔だった
春の蠢きと共に
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