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教師を辞めて、一生懸命生きています。 日記代わりに書いたり、ショートショートっぽいもの…

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教師を辞めて、一生懸命生きています。 日記代わりに書いたり、ショートショートっぽいものを書いたり。

最近の記事

日記(2024.08)

8/2(金) 犬、嬉しいと尻尾を振るなんて、なんて愛らしい機能なの。 8/5(月) 道端に血痕を見つけた。目的地までの道と、点々と続く血痕がリンクし、私はその血痕を追うように歩いた。それはあまりに長く続き、もしかしたらこれは未来の自分を暗示しているのでは、とも思い始めたが、目的地に向けて左折した先に血痕はなく、直進した先にある横断歩道の上に赤い点を見つけ、結構な血を流した誰かは、そのまま横断歩道を渡ったのだということがわかった。 8/7(水) 電車のつり革の上に蜘蛛の巣を

    • 日記(2024.07)

      7/5(金) ちょっとしたリーダーに任命されたらリーダー手当てが付いた。残業も無く、休日出勤もないのに、毎月残業60-80時間は当たり前、休日部活もドンと来いだった教員時代の給料をあっさり超えた。 なあ、俺の、俺の3年間は何だったんだ。 7/8(月) どうしてもハシビロコウが見たくなり、神戸どうぶつ王国へ行く。動かない鳥を謳う割には結構動く。 やはり動物はいい。生まれ変わったら絶対に人間にはなりたくない。とはいえこんな考え自体、人間の傲慢に過ぎない。動物たちも動物たちなりに

      • 頭の中にもう一人いる

        職場で「物事を冷静に見る力がある」という評価を得た。 そんなわけないのである。 えっ?そんなわけないのか? いや、そんなわけない。 漢文以来の反語自問自答を繰り返している。 この時点ですでに冷静ではない。 情熱と冷静の間だと、だいぶ情熱寄りであると自負している。 なぜ「冷静」だなんて評価を得ることになってしまったのか。 それは多分ここまで書いたことを全て脳内で喋っているからである。 昔から独り言が多かった。 それはほとんど無意識で、頭に浮かんだことを一人で何や

        • 架空小説書き出しまとめ②

          ・なにもかもあべこべ。右も左も上も下も、全部ぐちゃぐちゃになった世界で、あの子だけが真っ直ぐ立っていた。 もう顔も覚えていないあの子にどうしても会いたくて、私はいろんな方法で夢を見た。紛れもない私の初恋である。 『ウタカタ』より ・彼女が最初にこの橋を渡った時、その瞳は希望に満ちていて、少しの不安さえも気持ちを高揚させる材料となった。 次に彼女がこの橋を渡った時、かつてあった希望は形を変え、その瞳に色濃く影を落としていた。 『潮騒』より ・あ、と気づいた時にはもう遅かった

        日記(2024.08)

          人生のエンドロールに流れてほしい日

          出会いと別れの季節である。 私はこの春、一つの別れを経験した。 教え子の卒業である。 教え子といっても元教え子であるし、別れといえば私が教員をやめた去年が正しくは別れの時だったのであるが、私はこの3月、教え子の卒業を見届けた。 卒業式に参列したのは、ひとえに自分のためであった。 自分が後悔しないため、それだけのために卒業式に行こうと決めた。 彼らがどんな反応をするのかわからなかった。 ひょっとしたら「あ、来たんや」ぐらいの反応で終わってしまうかもしれないとも思った。

          人生のエンドロールに流れてほしい日

          祝辞

          船出の朝。 あなたたちはこの3年間で作った立派な舟を携え、この広い海へ出ていく。 舟に乗るあなたたちは今様々な思いを抱えていることでしょう。 これからへの期待、不安、別れへの寂しさ、開放感、高揚感、はたまたその全て。 それぞれの思いを抱え、あなたたちはこの広い海に漕ぎ出す。 これからはこの海で様々なことを自分自身で考え、選択していかなければならない。 海は流れを止めてくれない。 波に乗り、風に乗り、どこまでも遠くに進めることもあれば、全てが凪いだ海の真ん中で途方もなく空を

          「お箸何膳いりますか?」と聞きながら二膳のお箸に手にかける店員さんを見て、全然一膳でいいのに「二膳で!」と元気に答えてしまう人に送る賛歌

          ということがありました。 夕飯時、その日は少し遅めに昼ご飯を食べたため、そんなにお腹は空いていなかった。 しかしまあ、あんまり少ないと夜中にお腹が空くことだろうな、と考え、少し多めにたこ焼きを買って帰ろうとした。 普段が6個のところを12個を注文したのである。 夜ご飯と考えると少し少なく、一人の持ち帰りの量としては少し多いのかもしれない。私はこれをもちろん一人で食べるつもりで注文した。 「マヨネーズ、鰹節、青のりすべておかけしてよろしいですか?」というお決まりの質問にも「

          「お箸何膳いりますか?」と聞きながら二膳のお箸に手にかける店員さんを見て、全然一膳でいいのに「二膳で!」と元気に答えてしまう人に送る賛歌

          「架空小説書き出し」まとめ①

          ・今日も奴等がここにやって来る。奴等は入れ替わり立ち替わり、物珍しそうに私達を観察していく。 ヒレも鱗もない自分たちの姿が存外に珍しいことを、奴等は自覚していないらしい。 『ガラス張りの楽園』より ・気づくと彼女はそこに立っていた。そこがどこであるかも、どうやってそこに来たのかも、彼女は理解していなかったが、その先に進まなければいけないということだけは、なぜか確信していた。 突き刺すような日差しと降り注ぐ蝉の声が、今が夏であることを告げていた。 『蜃気楼の町』より ・道路

          「架空小説書き出し」まとめ①

          徒然なるままに、冬の憂鬱をここに記す。

          春はあけぼの 夏は夜 秋は夕暮れ 冬は鬱 鬱の季節である。 そんな季節があってたまるか、と思うが、どうやら世の中には「冬季うつ」という言葉があるらしい。 何やら日照時間の短さが関係しているらしいが、なるほど、冬は憂鬱である。 私はそもそも冬が嫌いである。 外の寒さを考えるだけで何もしたくないし、冷たい風に吹かれながら外を歩いていると、私は何のためにこんな苦痛を受けているんだ、と勝手にイライラしてしまう。 夏派か冬派かどちらかと言われれば、断然夏派である。 服を着込んで白い

          徒然なるままに、冬の憂鬱をここに記す。

          どうでもいい正解を愛するよりもおもしろそうなフェイクを愛すよ。【2023年のお気に入り】

          2023年が終わる。あっけないもんである。 ということで2023年に出会ったお気に入りのものや良かったものなどについてつらつら書いていこうと思う。 本①『傷を愛せるか』宮地尚子(ちくま文庫) 精神科医で医学博士でもある著者によるエッセイ。 傷を抱えながら生きるということについての文章が書かれた本である。 ②『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子(文春文庫) 大きくなることを悲劇だと考えた少年が、「リトル・アリョーヒン」となり、からくり人形を操ってチェスを指す物語。 小川洋子の

          どうでもいい正解を愛するよりもおもしろそうなフェイクを愛すよ。【2023年のお気に入り】

          命が奪われている現実とそこから離れた場所にある現実

          命について考えている。 朝起きる。寝ぼけ眼のまま携帯のアラームを止め、布団から体を起こすことを渋りながらSNSをチェックする。 誰からも連絡が来ていないLINEを開く。これはルーティーンをこなすようなもので、ほぼ無意識にニュースのタブをタップする。そこには昨晩から今朝にかけて起こったことが見出しとなって並んでいる。 ああ、今度は学校が襲撃されている。 見出しだけを確認した私は、LINEを閉じ、Twitterに移動する。(Xとは呼び慣れないし、多分呼ばない。) 知り合いや

          命が奪われている現実とそこから離れた場所にある現実

          文章にならなかった散文たち(2023.10)

          ・「明日のあれどうしよう」とか未来の不安要素をひたすら考えた最終地点が「まあその時の私がどうにかするでしょ」になるんですけど、実際どうにかする。 ・「うしなう」の漢字って上に突き出るっけ?と迷うと、まず「矢」と書いてから、いや違うな、と感じ、上にちょんと突き出させるということを、もう15年程続けている。 ・「は」と「ほ」がわからなくなる瞬間がある。「ぱ」と「ぽ」も同じようにわかりにくい。「ば」と「ぼ」は少しわかりやすくて、「ハ」と「ホ」に関しては余裕でわかる。 ・私だっ

          文章にならなかった散文たち(2023.10)

          人が大人になるのはお酒を飲み始めた時でも煙草を吸い始めた時でもなく

          人はいつ大人になるか。 答えは簡単だ。 一人で銀行口座を開設した時である。 事情により、銀行口座が必要になった。 いや、今までも銀行口座はあったのだけれど、それは私が大学に入る前に母と共に銀行に赴いてつくったものであり、私は銀行の窓口で母と銀行員さんが会話をする隣でふむふむとただ聞いている風の顔をしているだけであった。 それが事情によって別口の口座が必要になったのである。 行くしかない。銀行口座の開設に。たった一人で。 当たり前である。 私ももう26歳。いくら中身が高

          人が大人になるのはお酒を飲み始めた時でも煙草を吸い始めた時でもなく

          丸坊主って膝小僧ってこと?

          父方の祖母は叔父と共に少し離れた場所に住んでいる。 会うのは、年に2・3回。年末年始やお盆など、お墓参りをする季節だ。 待ち合わせは祖父のお墓がある霊園で、一緒にお墓参りをし、そのまま近場でご飯を食べる。これがいつもの流れである。 お盆の話だ。 今年も一緒にお墓参りをして、ご飯を一緒に食べようと予定していた。 こちら側で待ち合わせ時間を決め、母が祖母に電話で伝える。 母が電話をするのを横目で見ながら、私はポケモンスリープでポケモンが集めた木の実を拾い集めていた。 電話か

          丸坊主って膝小僧ってこと?

          「もうええわ」で終わらない人生

          なんか、もう、ええわ。とずっと思っている。 もう、ええわ、人生。もう、終わりにしよや。と誰もいない部屋で何にもない天井に投げかける。 なんかもうしんどくないか?人生。 深刻に悩んでいるとか、心を病んでいるとかそういうことではないと思う。多分。でも、なんかもう、ええわ。と思い続けている。 「死にたい」ではない。どうしようもなく追い詰められているとかそんなわけではなくて、これはもっとポップでフランクな感情だ。 「死にたい」ではなく「消えたい」ともちょっと違う。 誰かがSNSで

          「もうええわ」で終わらない人生

          時計の電池が替えられない

          ウチには時計が3つある。 けれど、どれも正確な時刻を指していない。 一つは電池が切れている。もう一つも多分切れかけていて、ズレながら進んでいる。 最後の一つは最近手に入れたもので、あとの二つがアナログ時計だからデジタル時計があってもいいかなと思って、カタログギフトの中から選んだものだ。これに関しては中身を確認しただけで、動いたことすらない。 どうしてこんなことになっているのか、答えは明確。電池を入れるのが面倒くさいのだ。ひとえに私の怠惰ゆえにこのような状況になっている。 電

          時計の電池が替えられない