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「プロジェクト・ヘイル・メアリー」ネタバレ感想
だいぶ前になりますが、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読みました
だいぶ前のことなので、細かなことは忘れましたが、一番心に残り、繰り返し考えていることを忘れないように書いておこうと思います
一番心に残ったこと、それはストラットが歴史学者だったと言うことです
20世紀来、科学者には哲学が必要だと言われてきました
学会を追われた頃のライランドに哲学はありませんでした
ビートルズの開発者は科学は正義という思想の持ち主で、それは哲学ではありません
科学の信奉者です
他の科学者たちは、各々正義感・責任感・使命感はあったかもしれませんが、哲学までは持っていなかったように思います
今作に登場する科学者で明確な哲学を持っていたのは、気象学者だけです
その気象学者はストラットの要求に己の哲学を曲げて、地球環境を破壊する手助けをしてます
彼の哲学を守るならば、地球と地球の生命のほとんどは守れなかったからです
これは、科学における哲学は科学の範疇でしか正しくないと言うことです
ストラットは歴史学者でした
哲学という思考ではなく、歴史という事実の積み重ねから、地球と人類の未来を予測し、それを回避する術を図りました
ストラットが最高権力者であることも大切です
他の学問同様、歴史学も常に時の権力に曲げられる危険があるからです
人類の歴史が続くのであれば、いつの日か正されるかもしれませんが、滅亡待ったなしの状況で、権力の恣意的な介入は滅亡を加速させるものでしかありません
今作では、現在人類が直面しているさまざまな問題に対し、いくつかの解決策が提示されいます
その中で、歴史という事実の積み重ねこそが未来を予測できるということ、その予測に対しいかなる権力の介入も許されないということが、作中のどれほどのSF的アクロバットよりも深く心に残りました
もう一つ、歴史学者ストラットが未来を託した相手がライランドだということ
彼は科学者です
が、ストラットが見出したのは、科学者ライランドではなく、教師ライランドだったのではないでしょうか
彼が「教え子のために」(ほんの十数人)「世界を救う」(どれだけの人数かわかりません)とラボに現れた時、ストラットの気持ちは決まっていたのではないかと思います