バイキンマンの話
僕はバイキンマンが好きだ。
かれこれ10年以上、
僕はバイキンマン好きを公言している。
それはキャラクター設定云々じゃなく、
バイキンマンの人間らしさが好きなのである。
ご存知の通り、バイキンマンは悪役だ。
1話完結型の子ども向けアニメにおける分かりやすい悪役であり、それも一つのバイキンマンの魅力である。
分かりやすいが故に、子どもにとっては、
おそらく初めて遭遇する悪役ではないだろうか。
しかし、大人になった今、僕はバイキンマンから、本当の意味での人間らしさ、醜さ、不器用さ、人を一途に愛すること、色んな事を学んだように思う。
基本的にバイキンマンは、主人公の邪魔をする。
これは自発的にするよりは、ドキンちゃんの希望を叶える為にすることの方が多い。
これは恋愛において周りが見えてない状態でもある。
ドキンちゃんが好きすぎて、周りが見えてない。
しかし、このドキンちゃんへの想いは叶う事はない。
ドキンちゃんはショクパンマンが好きなのである。
どれだけドキンちゃんの為に悪事を働いても、ドキンちゃんには好きな人がいる、そしてそれがあろう事か敵対するアンパンマン側のショクパンマン。
こんなに悔しい事はない。まだホラーマンなら、少しはマシかもしれない。いや、マシじゃないか。
バイキンマンには一途に人を愛する心がある。
それが叶わない恋であっても。
次に、なんだかんだで優しい。
ある回でバイキンマンとカバオ君が遭難する。
するとパンをたまたま持っていたバイキンマンは、
それを当たり前の様に食べようとする。
ちらっとカバオ君を見る。
うぅ〜っとしばらく考え、パンを半分に割り、カバオ君に分けてあげると言う場面があった。
僕はその回を見て泣いた。
最終的にはアンパンマンにぶっ飛ばされる。
そんな優しい部分のあるバイキンマンを
情状酌量の余地なくぶっ飛ばすアンパンマン。
正義は本当に正義なのか。
悪は本当に悪なのか。
僕はアンパンマンを見る度に思う。
この間、地元の祭りでアンパンマンショーが開催されていた。
もちろん、内容はアニメと変わらず、勧善懲悪。
終盤にバイキンマンはぶっ飛ばされた。
アニメじゃないから、リアルにアンパンチで地に伏した。
そのリアルさに、少し笑った。
でも、ショーが終わった後の握手会。
代表としてアンパンマン、ドキンちゃんと共にバイキンマンも選出され、子ども達と触れ合っていた。
その勧善懲悪を超越した光景をみて、胸がいっぱいになった。
良かったね、バイキンマン。
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