イマーシブフォート東京に馴染めなかった【学び】【愛のないマーケは空虚】
お台場にできた東京イマーシブフォートに行った。
結局12時オープンから18時までいたので、なんだかんだ楽しんだ!秋の雨シーズンにはよい行き先になると思う!
一方で自分は全然馴染めなかった…
モヤモヤの正体を言語化したいと思って書いてみます。
イマーシブフォートとは
ビーナスフォート居抜きのイタリア風建築は、架空の街「フォルテヴィータ」として生まれ変わった。
キャストが街の住民としてウロウロしており、歩いていると話しかけられたりする。
街中ではダンスイベントなどが定時に催される。
企画アトラクションも6,7つあり、
シャーロックホームズや今際の国のアリスなど、
既存コンテンツを元にしたものが多い。
企画は大きく以下3種類
・演劇没入(シャーロックホームズなど)
建物を丸々舞台セットとして演劇が行われ、
観客である参加者は実質モブとして近づける。
・ウォークスルー(ジャックザリーパーなど)
遊園地の歩くお化け屋敷のように、歩きながら通路を巡り、人が出てきたり、場面ごと映像を見る。
・脱出ゲーム(第五人格など)
ゲームのプレイヤーとして自分が謎解きする。
初めに言うと企画系は面白かったけど9800円は高すぎる!
馴染めなかった理由
キャストの煽りで大勢が「自分の思想や意思なく」動く空虚さ・大衆煽動感が怖い。
街中で行われるイベントを見て思ってしまった、
これは現代版ハーメルンの笛吹きではないか。。
私が見たイベントは「(swat?行軍)訓練」「推しの子応援上映」と、ハロウィンゾンビとDJに合わせて踊る「PartyZ」
訓練は、街中で隊長役のキャストから召集がかかって参加する仕組みの様子。
数十人が指示に従って楽しそうにスクワットや走り込みをしている。
世界観に入り込めていれば、かっこいい隊長!参加します!と楽しめるのかもしれない。
通りがかりの自分は、なんとなくで巻き込まれ、言われたことに従う状態を見てシンプルに怖かった。
隊長って何者?正直一般人だよね?という時点で入り込めていない。。
戦時になって、かっこいい隊長が出るいい感じの募集動画があったら同じように応募するんだろうか?自分のミッションや存在意義を感じたいのかな…と突然社会派な妄想が広がる。
推しの子応援上映は、オタ芸のようなダンスを皆で踊りながら、キャストやアニメ映像を見るライブ形式。
これも、推しの子への愛がありそうな人は少なく、
皆なんとなくその場が楽しいからというだけで、手を振って踊る状況、空虚すぎる……!
キャラの顔のハッピ着てる人いる!と思ったらキャストだった(ハッピは売店で買える)
ちなみに私はジャンプラで最新話まで追っているので闇展開が浮かび笑顔でライブを見ることはできない。辛い。
対象は何でもよく、ただ普段ノリノリになれない自分を解放する場としての機能にすぎないのだ。
同じ感覚をゾンビと踊る「Party Z」でも感じた。
イマーシブフォート来場者全体に言えることだが、
参加者は、どちらかというとインドアでおとなしそうな20〜50代。
クラブに行ったことはなさそうな穏やかな人たちが、一斉に
「右右右右、左左左左」の動きで跳ねながら無心で周り出す。
その状況が怖くなってしまった。
そして申し訳ないがこの選曲でアガれるか??
その動きでバイブス感じてる!?
楽しめているのは誰なのか?
思考を止めて長いものに巻かれ、流される幸福を突いている施設だと思った。
「自分じゃない自分」になれることを売りにしている施設だが、
なんでもいいから楽しげな空気に飲まれて自己解放できる場所、
あるいは自分に役割が与えられ居場所が作られる場所として機能している。
いうなればクレヨンしんちゃんのオトナ帝国。
森岡毅式マーケはとても正しく、個人的には思想が合わない
自分は施設の魅力は理解しきれなかったし、
集客状況も絶好調というわけではないらしい。
しかしこれだけの人が楽しげにしているということは、一定のニーズに応えているということ。
人々の秘めた欲求を探り当て、
喜びの対価としてお金を出してもらい
儲かる=価値を提供できている、という考え方は
マーケティングとしては、とても正しい。
一方で、刀が手がける施設は共通して、意思や愛がないのでとても空虚だと感じる。
リニューアルした昭和テイストの西武園遊園地や、近年開園する沖縄のジャングリアもそうだが、
「これ当てておけば人々は気持ちいいだろう」
というコンテンツをぶつける。
そこに土地の歴史や、コンテンツの文脈、世の中へのメッセージは何もない。
彼らにとって、コンテンツは集客と場づくりの道具でしかないのだと感じる。
自分はエンタメコンテンツが好きなので、
ディープなファンでなくても、コンテンツへある程度は愛や思い入れを持って接することがリスペクトだと考えている。
そんな信念も刀には馬鹿だと一蹴されるのだろうか?
今後の施設の展開に注目しておこうと思った。