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食歴というもの、あってもいいのでは?(上)

 4月1日世田谷の木鶏堂書店という古本屋にて、ブリア=サヴァランの『美味礼賛(上)』を買いました。大学の食科学概論という講義、平野紗季子さんの味な副音声など、いたるところでやっほーするブリア=サヴァランさま。

どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあててみせよう。

ブリア=サヴァラン『美味礼賛』(1967年、岩波文庫)

かの有名なお言葉に、私はモヤモヤ。
言いあててみせようというならば職歴ならぬ、食歴ができるのでは?
ということで、私がおぎゃーと生まれた日から現在までを綴ってみようと思います。

以下 幼少期/幼稚園/小学生(上)
今後 中学生/高校生/大学生(現在)/今後の野望

1. 幼少期

 

0歳

 「おぎゃー(口から食べさせてくれー)」

 

1歳

 父が目を離した隙にコーラを飲みました。目が合うとにんまり。してやった顔だったそうです。

 

2.3歳

 家で母と砂遊びをしていた時、「いただきまーしゅ」と口に運ぼうとしたのはダンゴムシ。慌てた母に救出されたヤツは、さぞかし驚いたことでしょうね。「食べられる!」と恐れて常日頃生きるダンゴちゃんはいないと思います。ごめんね☆アリさんがありならあなたはどう?とプリティな私は思ったのだとここに弁明します。

おかげさまで、3姉妹の中ではじめに好き嫌いのない子どもになりました。

2. 幼稚園

 日曜日の朝、パン屋さんに行くのが一大イベントでした。じっとできず、レストランに不向きなプリキュア戦士たち(涙)「今日は何個?」買ってもらえる数は決まっているのにいつも聞いていました。ライオンの顔をしたメロンパンとシュガードーナツが大好きで、それらを食べることがかわいいと心から信じていたのです。

3.小学生

 

小学1年生

 はまっていたのは「ねるねるねるね」。噛まずに言いたい気持ち半分、ラベンダー色から始まるオーロラカラーへの憧れ半分。乙女心にずっきゅんです。食べると、手作りご飯からは味わえない独特の酸味とふぉわふぉわな食感。あれはまぼろしだったのでしょうか。

小学2年生

初めてちゃんとしたバレンタインを作りました。ガトーショコラです。おしゃれな雪の降った濃厚ガトーショコラ。作れる私ってなんてス・テ・キ!
 結果は残念。途中で飽きて、母と幼馴染のお兄ちゃんに相続しました。だって、テレビのアニマックスでしていた「こち亀」に夢中になってしまったんだもん。もちろん好きな男の子にあげて、そのお返し、もらいましたよ。

 

小学3年生

 私の心は母のからあげにくびったけ♡ 衣は片栗粉で、一般的には竜田揚げに分類されるのが「うちのからあげ」なのです。しょうゆの味やにんにくしょうがのガツンとしたかおり、ざくじゅわっとした食感。どうやらそれらだけが好きな要因ではなかったようですよ。

 私が何とも好きだったのは、競い合って食べるからあげです。
着席。お箸を手に持ちいざ合掌。もう目はギラッギラの一点集中です。
「いただきまーす」の合図と同時にお口へダイブイン。
となりの姉のお皿にからあげがなくなったと思えば、負けじと追いつき、妹がまだ食べていると、「それではお先に。」とまた1つ。もう1つとパクパク。

・・・。
なんて姑息なのでしょう。

 

小学4年生

 初めてフォアグラとキャビアを食べました。今でも忘れやしません。あの味を。

(21歳の私) 「美味しかった?」
(10歳の私) 「ノー。フォアグラ。」
(21歳) (はあ。なんて子どもだ。)「なんで、なんで?」
(10歳) 「果物とね、お肉が合わさっているのが無理だったの。」

 それは焼かれたフォアグラ+桃のコンポートのお料理でした。おこちゃまには難しい美味しさかな。今やっと生ハムを巻いたいちじくの美味しさがわかるようになりました。

(10歳) キャビアはしょっぱい。
(21歳) ああ、もう返せ!

両家の祖父母が集まった高級料理屋さんでの食教育。
今の私にもう一度チャンスをくださいませんか。

 

小学5年生

 夏休みの1カ月、新潟の祖父母の元へ帰省していた時のこと。
赤いラベルを見ると目がキラーンとなるほどコーラ中毒でした。祖母にねだり、毎日飲んでいましたが、さすがに心配しますよね。祖母、娘(私の母)にお電話です。
「骨が溶けるでしょー!もう夏休みは禁止!」
母からまさかのおふれが出ました。コーラ禁止令です。
その後のことはことさら覚えていませんが、今ではきっぱりサヨナラ。
一生分のコーラ、飲み干しました。

 

小学6年生

 にんじんととうもろこしに対する謎の反抗期が到来します。

「野菜のくせして甘いって何よ。」
「コーンは食べれないけど、ゆでて塩をふったとうもろこしは好き。」

うわっ。これは野菜に対するツンデレか?何かにんじんたちに嫌なことでもされたのか?三者懇談が開かれそうです。


そんなこんなで私の食歴(上)を終わります。
衝撃的なものに支配された幼き日の記憶。お料理好きな母が見たらきっとショックだと思います。
もちろん、リビング立ち入り禁止の母のクマちゃんマカロンや、みんなで作ったシフォンケーキ~裏庭のミントを添えて~、鉄板プレート焼きそば、父のキーマカレー等大好きでしたよ。
なのになんでだろう。このラインナップ。


続く。


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