【マネジメント再考】ファシリテーション型マネジメントの実践を考える①
「マネジメントの在り方を変えたい!」
この想いは、様々な企業向けに管理職・次世代リーダー研修をさせていただく中で日々強まっています。私は、自分の会社(ナラティブ・エル・セッションズ合同会社)とパートナーである株式会社NOKIOOを通じて、年間100回ほど、中小から大手まで業種も様々な企業の管理職向けにマネジメント研修を担当させていただいています。そして、私自身もミドルマネージャーとして10年ほど、様々な組織のマネジメントを担ってきました。
マネジメントの支援者と実践者そして研究者として、数年前から感じているのは、マネジメントに求められる「在り方」に変化が求められているのではないか?ということです。
■マネジメントや働き方を取り巻く時代の変化
改めて書くまでもないかもしれませんが、自分自身の整理のために。2010年代以降、少子高齢化・労働人口減少という日本における大きな社会課題は、働き方や働く個人の価値観、キャリア観に影響を与えています。また、並行して起こる災害やパンデミック、政策の変更なども、特に2015年以降は年々具体的な変化を私たちの生活や仕事に影響を及ぼしてきました。「まだまだ変わっていない」という声もありますが、俯瞰してこの10年を振り返ってみると、だいぶ具体的に変わってきている面もあるのではないかと思います。
これら変化の過渡期に、HR業界に身をおいていて感じるのは、各種変化への対応で必ずといっていいほど言われることが「ミドルマネジメントが要だ」ということです。昨今は、「ミドルマネージャーの負担が重すぎる」という課題の声も出てきていますが、現場に身をおくミドルマネジメントの実践者としては、確かに、各種取り組みにおいて、ミドルマネージャーがキーマンであることは事実そうだと感じています。(もう少し、負担を減らせる手立ては必要だと思うものの。。)
ミドルマネージャーになんでもかんでも背負わせるのは問題だと思いますが、一方で、ミドルマネージャーが各種変化への対応や、事業としての成果創出、そして現場で働く人達の「幸せ」において要職であることは変わらないでしょう。この前提に立った時に、個人的に将来に向けて実現したいと考えているのが、「マネジメントの在り方を変えたい」ということです。
■「上司ー部下」の世界観を終える
高齢化や多様化、業務の複雑さが増す中で、「上が下を管理する」という世界観は無理が生じてきているように感じます。年上メンバーの割合も今後増えるでしょうし、マネージャーが自身より高い経験値と専門性を有したメンバーをマネジメントする機会も増えています。「役割としてのマネジメント」を定着させる意味でも、私は意識して「上司ー部下」という言葉は使わないようにしています。
■ミドルマネジメントを専門技能職に
「専門職(エキスパート)」か「管理職(ゼネラリスト)」か。という2分類が存在しているような気がしますが、この分類には3つの誤解を想起させると危惧しています。
・専門職はマネジメント活動をしなくてよい
・専門職になれないなら管理職コースへ
・管理職には専門技能は不要
すべて、そんなはずはないですよね。特に、これだけ事業においても、組織においても、人材においてもマネジメント難度が向上している中で、管理職(ミドルマネージャー)こそ、各マネジメントにおける専門技能が求められると思いますが、果たして世のマネージャーの内、どれだけマネジメントの専門技能を習得し、磨くための訓練機会を経験しているでしょうか。
■「マネジメント職」を魅力ある職種に
ミドルマネジメントが専門技能職であるならば、それは単なる役割・役職ではなく、ひとつの専門的な「ジョブ」です。私自身も、管理職になる前は「マネージャーにはできればなりたくないな。給料は上がってほしいけど」と思っていました。ただ、なってみて思うのは「こんなにやりがいのある魅力的な仕事なのか」ということです。魅力を感じる理由は人それぞれでしょうが、私にとっては、
・経営・事業に影響力を少なからず発揮できる
・自分の組織・チームを、自分でつくれる
・メンバーの成長に関与し、立ち会える
・チームで共に成果や成長を分かち合える
といったところが魅力です。
上記のようなマネジメントに対する課題意識がある中で、現在、そしてこれからの時代に求められるマネジメント・スタイルとは、どのような形だろうか?を数年前から考えるようになりました。そして、各種書籍や研究論文等を参照しながら、有識者の方々と意見を交わしながら、自ら実践しながらたどり着いたのが「ファシリテーション型マネジメント」です。
■ハイブリッドワーク時代のファシリテーション型マネジメント
ハイブリッドワークとは何か?については、また改めて書きたいと思います。多様性が増すほどに、マネジメント・スタイルは変化を求めらていると感じます。一時は、マネージャーが後方から前方のメンバーを支援するサーバントリーダーこそ、これからの時代のマネジメント:支援型マネジメントと考えていました。ですが、特にコロナ渦以降、それまで以上のフル・リモートワーク状態の組織マネジメントの状態にありながら、事業としても新規事業中心となり、社員メンバーだけでなく、副業メンバーや他組織のメンバーも加わり、マネジメントの在る「位置」は、後方ではなく、組織・チームの「中心」に在りながら、多様なメンバーを有機的につなぎながら、共通の目的に向けて自走していくことを促す、ファシリテーション型のマネジメントが、実践者としてしっくりくるようになりました。
このファシリテーション型マネジメントが、唯一無二の解とは思いませんが、少なくとも、実践者として実行し、「手応え」を感じているこのマネジメント・スタイルについて、その技能体系を整理していきたいと思います。
併せて、このファシリテーション型マネジメントを講義・協働学習の形式で「学び合う」機会に取り組みます。関心がある方は、是非ご参加ください!
【第1期】ハイブリッドワーク・マネジメント講座(募集説明会)参加者募集中!
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