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自己変革力とは何か?

私は実務領域において業務コンサルタントとして、様々な「変革」のプロジェクトに関わってきました。働き方改革、デジタルトランスフォーメーション(DX)、企業も個人も、変化の激しい時代において「自らを変革させていくこと」を求められています。ですが、この「自らを変革していく力」について、どうすれば身につけられるのか?どのような能力なのか?について、整理されたものを実務実践の中では見つけられませんでした。そのため、自らの探求テーマとし、自らの実践の中から「実践の理論」として模索し始めています。

■自己変革力とは?

私がはじめて「自己変革力」という言葉に出会ったのは、事業構想大学院大学の講義で、松江英夫先生に出会ったときです。松江先生の著書に『自己変革の経営戦略』が、あります。自己変革力を発揮した企業のケースを紐解きながら、変革の失敗の背景には「3つの断絶」が存在すると著者は指摘します。

  1. 過去から現在、そして将来といった「時間軸の断絶」

  2. 顧客や取引先など外部環境と組織の間に存在する「市場との断絶」

  3. 経営と現場、部門間など利害や立場が異なる間に発生する「組織内の断絶」
    本書では、これら3つをつなぎ、連鎖させることによって、自己変革力が生まれる、と説かれています。

本書では、企業・組織を主語に、「自己変革力」について解説されています。一方で、私が実務で直面していた「自己変革力」は、組織の中にいる個人を主語にするものでした。組織変革論ではなく、個人の能力として「自己変革力」に迫るものはないのか?この探求の過程で出会ったのが、田中研之輔先生の『プロティアン』でした。

キャリア論ではありますが、田中先生の場合は、理論だけでなく、いかに実践に組み込むか?がアプローチとして記されています。個々人が、組織内キャリアではなく、自らのキャリアを戦略的に、かつ変幻自在に創り出していくこと。ここで語られている事は、これからの時代に求められるキャリア論であると共に、自らを変化させ続ける力(≒自己変革力)ではないかと解釈しました。

■なぜ、「自己変革力」にこだわるのか?

そう問われると、「自分自身が変革者でありたいから」が第一想起される答えになりますが、実務の中で自らを変えることができず苦労している方を救いたい、という想いもあります。また、「変革することが、必ずしも良いこととは限らない」という議論もありますが、私自身は、変革が求められる場面において、「自らと、自らを取り巻く状況を変革していく力」を必要としている人がいる現実を見てきましたので、その力=自己変革力を実践の理論として整理し、必要としている人が、必要な時に習得し、発揮できる能力とできないか、と探求しています。

私見ではありますが、今後ますます混迷していくであろう時代の中、次の世代はより一層の自己変革を求められる時代が来るのではないかと推察しています。もしそうならば、次の世代が、できることなら自らと、自らを取り巻く状況を変革していくことを楽しんでほしい、そういった逞しさを、より多くの人に持ってほしい、というエゴが、私に本テーマを探求させるのではないかと省察します。(つづく)


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