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なつかぬインコは 反抗期の娘か恋敵か

私は、子供の頃から動物が好きだ。

子供の頃は、犬、亀、金魚、ハムスター、ザリガニ、うずら、文鳥など色々飼っていた。

動物はみんな好きなのだが、特になんの動物が好きかと聞かれたら「鳥」と答える。

小学生の時は文鳥を飼っていた。手乗りで懐いており、とてもかわいかった。

大学生になり、自宅をでて一人暮らしをしたため、そこからしばらくは動物は飼わなかった。

動物が常にいる生活だったのでさみしく感じた。

結婚して、新居に落ち着いた頃、そろそろ動物が飼いたいと思うようになった。

私は 小鳥を飼いたいと夫にいった。

夫も「鳥、いいね」と賛成してくれた。

いくつかペットショップを周り
お迎えする鳥を探した。
 
それから しばらくして  

ホームセンターで 運命の出会いをする。

それは セキセイインコの雛だった。

ガラスケースに3匹の雛

値札?によれば、産まれて 数週間。
 羽のが生え揃っておらず ピンクの地肌が見えていた。
私は3匹の中でも 一番気の強そうな 黄色のセキセインコの雛 をお迎えした。   


 雛は 1人で餌を食べれない状態だった
 水でといた餌を スプーンやスポイトで 食べさせた。



お迎えしてから数週間で 雛の見た目はすっかり成鳥になっていた。

もともと黄色と白っぽい毛が混じっていたインコの毛は

全体的に黄色で尻尾にかけて鮮やかな綠色になっていた。

鳥の フォルムって なんて美しんだろう。

私は 黄色の インコを 「キロロ」と名付けた。

私は キロロを 眺めては 「キロロかわいいね〜」「おはよう」「愛してる」などと声をかけていた。

私は、長年、動物同居生活をしてきた者の自負として
 【自分が動物に 嫌われるわけがない】 というものがあった。


そう信じていたのだが

キロロが成長するにつれて 
私の中に ある疑念が湧いた。

(私は キロロに 嫌われている?)

キロロは 放鳥すると真っ先に 夫の肩や頭に乗った。

反対に 私にはめったに近寄らなかった。

羽ばたいて、たまたま着地地点付近に 
私がいると 私の肩に乗るときもあったが 長居はしてくれなかった。

手に乗せようとすると 必ずにげる。 
ひどいと噛まれたりもした。

夫からは「完全に嫌われているね。」と言われたが

人から言われると悔しい。 認めたくない。

しかし これ以上しつこいことをして 余計嫌われるのは辛い。

キロロがストレスで病気になっても 困る。

私は 泣く泣く キロロの餌係 兼 ケージの掃除係となった。

キロロと 触れ合えないのは 寂しかったが、相性もあることだからしょうがないと割りるようにした。

私が コミュニケーションを最小限にすることで 

キロロは、のびのび生活をしているように見えた。

そして

いつしか キロロは 夫に 甘えるようになった。
夫に自分の頭をくっつけたり 甘えた声で鳴いた。

そんな ある時

キロロ放鳥中 私が夫と話をして笑っていると、 急に キロロが 

「ギャッギャ!!」

と 鳴き

私の顔をめがけて 攻撃したのだ。

キロロはくちばしを大きく開き 威嚇するように羽を広げてた。

鳥なので目の形は 変わらないはずなのに 明らかに怒っているのがわかった。 

それはもう 今まで見たことのないような大激怒だった。

驚いたのと ショックで 固まった。

状況からみて キロロは、私が夫と楽しそうに話していたことにヤキモチをやいたのだと推察した。

キロロにとって 私は 掃除係りをする苦手な女から 恋敵になってしまったのだ。

辛かったが なすすべもなく そのまま時が流れた。
   
そんな日々中、私はキロロに嫌われ続け

キロロの夫への 恋心は 確かな愛 に変わっていった。

キロロは夫を見ると 求愛ポーズ と言われる シャチホコポーズを取るようになった。

まさかと思ったが、案の定 卵を産むようになった。

卵は 数日ごとに産むようになり 日に日に数も増えていった。

ネット情報によれば、インコが卵を産みすぎると 体に負担がかかってしまい、
最悪 死んでしまうこともあると書いあり 恐ろしくなった。

ちょうどこの頃、くちばしに出来物ができたため 動物病院へ連れて行き相談することにした。

獣医の先生に くちばし出来物の処置をしてもらった後(飲み薬と薬の塗布で通院になった)

卵の相談と 私がキロロから嫌われていることを相談した。

獣医の先生からは
「キロロちゃんは、夫さんに発情しているので、発情期はなるべく、構わないでそっとしておいてください。
奥さんが好かれることは、今後もないので、遠くから様子をみるなどして、ストレスを与えないであげてください。」 といわれた。

発情期に夫が 構いすぎてはいけないのは わかるけど
私は この先ずっと 遠くから様子をみてるしかできないのか。

キロロに嫌われているのは 自分でもわかっていたけど 獣医の先生から言われて

【嫌われ者認定】を 突きつけられた気持ちになった。

動物だけには 好かれる自信があっただけに ショックだった。

それと同時に

やっぱり 動物も性格があって 相性もあるのだと感じた。

キロロにな 
「触れてないでほしい 構わないでほしい」 と、嫌われても

やっぱりかわいい。
キロロには幸せでいてほしい

そんな


キロロと私の関係は まるで思春期の娘と母のように思えた。

嫌われてても  恋敵と思われてても
キロロは 美しくかわいい 娘のような 小鳥様。


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