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べビーマッサージインストラクターはボッチがお好き

息子が生まれて 6ヶ月 私はベビーマッサージのインストラクターになった。

結婚して出産して 地元を離れ夫と 息子の三人暮らし。

仲の良かった友だちとは 結婚を機に段々と疎遠になった。

夫が仕事に行くと 夫が帰宅する夜まで
 私と息子の二人きりの生活だ。

初めての子育てだったが
 息子は 丈夫な子で めったに 体調も崩さず 大きく困らせることもなかった。

息子との生活リズムも段々とつかめてきたころ 私は無性に 誰かと交流したくなった。

ママ友のいない私は 息子との2人、ベビーカーで近所を散歩するのが日課になっていた。

ある時、不意に、児童館へ行こうと思い立った。
   
私は 「ママ友」「交流」「児童」「子育て」というワードが苦手だ。
そのためそれらの巣窟である児童館は 敷居が高かった。

でも、その日は、なぜか足が向かった。

苦手苦手言いながら、本当は、乳飲み子と2人の生活に 寂しさや、孤独を感じていたのかもしれない。

高い敷居をまたいで いざ児童館へ。

そこで飛び込んできたのが

「お家でまったり ベビーマッサージ教室」


というポスター

このポスターが私の人生を変える大きな出会いとなった。


ベビーマッサージとは

お母さんと赤ちゃんの愛情を伝えるコミュニケーションツール。

え?赤ちゃんとコミュニケーションが取れるなんて 面白そう!

私は 思い立ったら直ぐに行動する根っから猪女。

次の日にはベビーマッサージ教室に申し込んでいた。

ベビーマッサージ教室は インストラクターの先生のお宅で行った。

当日は、私の他に2名のお母さんと赤ちゃんが参加した。

持参のバスタオルを敷いて 息子をオムツ姿にする。
 
マッサージには ホホバオイルという天然のオイルを使った。

両手でオイルを温めて まずは、赤ちゃんの胸に両手をペタっと置く

赤ちゃんの目を 見つめて 「大好きだよ」 「かわいいね」など お母さんの思いを伝えるのだ。

ベビーマッサージの効果は 
親子のコミュニケーションの他にも、
お互いのリラックス効果、
免疫力アップ効果など 
素敵な事が沢山あるのだ。

ママ友0人の私は、自分の息子とのスキンシップコミュニケーションに癒されていき、
ベビーマッサージにドハマリしていった。

何事にも ハマるとソレしか見えなくなるのだ。

毎日 風呂上がりに息子とベビーマッサージ。

週2回は先生のベビーマッサージ教室に通う。

ベビーマッサージ関連の書籍を買う。
  

ベビーマッサージ生活だ。

ある時 ベビーマッサージ教室に行くと、
先生が 
「インストラクター養成講座を作る」と言い出した。

ベビーマッサージにドハマリ中の私は 
即答で「やります」

と手を挙げた。

私は、先生の弟子第1号となったのだ。

そこからは 息子を連れて 先生の家に通い
ベビーマッサージの基礎的、座学 手技を教えてもらった。
 
数ヶ月後、

ベビマ教室の模擬テストに 見事合格。

 無事 ベビーマッサージインストラクターとなった。

なったはいいが お客さんがすぐに付くわけはなかった。

せっかく インストラクターをとったのだから 教室をやってみたかった。

地元のフリーペーパーで広告を出しだが
問い合わせ0

見かねた先生が

「流水さん、 私、出張教室の日、急遽用事が出来て中止しようと思ってたの。もし良ければ代わりにやってもらえる?」

代打で 教室を任せたくれたのだ。

「頑張ります!」
 
意気揚々 出張ベビマ教室に挑んだ私。
 
流れも 手技も お母さん方に かける言葉も 何十回と練習してきた。任せてくれ!
  

出張教室の会場である 文化センターに到着。

来ていたのは 10組くらいのお母さんと赤ちゃん。   

なんとなく漂う アウェイ感に 一瞬怯むが、これは仕事だ!と気合を入れなおす。

「皆さん はじめまして。 今日は先生の代わりに私がベビーマッサージをお伝えさせていただきます。私も皆さんと同じ0歳児の子がいます。よろしくお願いします。」

私なりに 精一杯明るく楽しく自己紹介した。

つもりが 

しーん

掴み失敗…

考えてみれば 期待していた先生にはあえず見ず知らずの女が出てきたら誰だってテンション下がる。

そりゃそうだよね。 私みたいな陰キャが代打なんて引き受けないほうが良かった。

そんなふうに考えて 急に 自信をなくす。

しかし

ベビーマッサージが始まればそんなことを言っているわけにも行かず

努めて明るく 楽しく

教室を、進めていった。

なんとかかんとか 

無事マッサージは終了。

ほっとひと安心…

ただ お母さん方の心を掴めていないのは  
ひしひし感じた。

ベビーマッサージのあとは   
恒例で みんなで お茶やお菓子を食べながら お話しをする。 

いつもの教室は 先生を取り囲むようにして
ワイワイと いろんな情報交換で盛り上がるが

始まった お茶会は お母さん同士で いくつかグループが出来上がった。
 インストラクターの私は、まさかの ぼっちだった。

流石に居た堪れない。

バスタオルや 赤ちゃんの人形を片付けながら 恥ずかしくて 心で泣いた。
 
私ってそんなに 話しかけにくいのかな。

そもそも いつでも ぼっちの私が インストラクターになろうなんて無謀だったんだ…

心折れそうになったが 何とか先生の代打はやりきった。

問題はここからだった。

今日の教室は あくまで 先生の代打。

私が自分で、ベビーマッサージ教室を開催したくても 私の教室を受講したいと言ってくれる方は今のところ0だ。

なんやかんや

試行錯誤をかさね 奮闘し 

公民館や児童館、社会福祉協議会などに飛び込み営業もかけた。

営業の甲斐あってか 定期的に児童館などでベビーマッサージ教室をやらせてもらえるよつになった。

教室をやってみて わかったのは 私は2〜3組以下の少人数教室だと上手くまわせるということだ。
 
なんだかんだで

コンスタントに仕事が来るようになった。  
しかし 初めて半年もしないうちに 私はベビーマッサージのインストラクターを引退した。

理由は大きく2つ

①ベビーマッサージと、料金はオイル代や会場代を入れて1回500〜600円。仕事と考えれば大赤字だ。

②会場を押さえることや お母さん達との連絡調整にかなり時間をとられた大変だった。

この2点が大きかった。

あとは ベビーマッサージ に対する極めたい欲が満たされたことも大きかった。

私は 一度決めると 突っ走ってしまい ぶつかるまで止められない、自他ともにみとめる猪女だ。

そのうえ ぶつかって満足すると 急に冷めてしまうのだ。

ベビーマッサージは満足した。

あれから15年。もうベビーマッサージについて色々忘れてしまった。

ベビーマッサージ教室で ママ友の交流が広がっていくお母さん達をたくさん見た。

だけど 私は インストラクターになっても やっぱりママ友は 0人のままだった。  

天性のボッチだ。
  
悲しくも恥ずかしくもあったが

人との距離感が苦手な私はこれが心地良いのだ。と、気がついた。

私自身はベビーマッサージは卒業したが
ベビーマッサージは めっちゃ良いです。
ぼっち ママ友0人の私もドハマリ 楽しめました。
ベビーマッサージを通して出会った方々や経験に感謝!!


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