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河童はドブ川に出るんだ!!

私が 1番好きな人は おじいちゃん(祖父)だ。

祖父は 祖母と正反対。

人の悪口は絶対に言わない人だった。

物静かで いつもニコニコ。

いつも 仕事の後 1人で晩酌。

「波ちゃん これつけてきてくれる?」 と

とっくりを差し出される。

祖父の日本酒を温めるのが私の役割だった。

祖父は 日本酒をのむと 真っ赤になって 畳に ゴロンと横になる

祖母はそんな 祖父の姿をみて 「だらしない」と怒るのだが 

私は 祖父のとなりで 一緒になって横になるのが 大好きだった。

祖父は やさしくて あったかい匂いがした。 

私がどんなことを言っても 「そうか」といって 聴いてくれた。

アドバイスは なんにもくれないけど

私には 祖父の 「そうか」が 一番の お守りになった。

祖父は いつも 私の話を嬉しそうな顔で聞いてくれた。

それが嬉しくて 私は 一生懸命話すことを探した。

私が 話し終わると

「そうか」と  笑顔で 骨ばった大きな手で 頭を撫ぜてくれた。

私は 小学校のころ いじめにあっていた。
そんなこと恥ずかしくて 誰にも言えなかった。

祖父にも言えなかった。

でも 「そうか」と頭をなでられると 「大丈夫だよ」といってもらっている気持ちになった。

私は祖父が大好きだし 祖父も私が大好きなはず。

何事にも自信が持てなかった私だが、祖父の愛だけは信じられた。

そんな 祖父。

たしか 私がゲゲゲの鬼太郎かなにかの妖怪のアニメを見ていたときのこと。

それは 河童が登場する話だった。

わたしが 「河童なんているわけないのに」と言ったら

祖父が 「昔はよくいたよ ドブ川のあたりによく出た」
と言ったのだ。

ドブ川のあたりによく出た・・・・

よく出た・・・

まるで カエルか ザリガニに対して言うような物言いだ。

冗談・・・・?

いや 祖父はそんな冗談を言う人ではないし そんなテンションではなかった。

これは・・・・きっと

本当に出たんだ 河童。

それ以来 私は河童を信じている。

辛い時は 祖父が見た河童を想像して笑ったり グロかったらどうしようと 1人かってに怖くなったりして 辛さを忘れた。

河童はきっと心がきれいな人に見えるのだ。と いまだに 信じている。

夫に河童の話をしたら、 笑われて 信じてもらえなかったが、

私は 誰がなんと言おうと 祖父の話は信じる。

信じたいのだ。

私が生きているうちに 河童に出会えたら 天国祖父に 大きな声で報告しよう。

ありがとう 河童の存在を教えもらったから 楽しく 生きて来られた。

河童に会いたい・・・・

じゃなくて じいちゃんに会いたい。
 
私を助けてくれた河童の話を聞いてほしい

そして、また骨ばった手で「そうか」って おばさんになった私の頭を なぜて欲しい〜

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