ぐん税ニュースレター vol.46 page02 -RPA通信-
この記事をご覧いただいている方々の中に、予定納税(予定申告)をされた経験がある方はいらっしゃるでしょうか?
「予定納税」というのは、字面の通り「年税額が確定する前に、予め税金を納めてくださいね」という制度です。国税庁の説明によれば「一時に税金を納付した場合の負担感を緩和することや、国の歳入を平準化する」ことを目的としているとのこと(タックスアンサー No.2040)。
税制の説明は本旨から外れるため省略しますが、簡単にまとめると下図のような仕組みになっています。
これは国税ですが、地方税にも同様の仕組みがあります。
※法人税法・消費税法においては「中間申告(による納付)」ですが、「予定納税(予定申告)」で進めさせていただきます。
今回は法人に関する事務所内での処理についてフォーカスしていきたいと思います。とは言え、作業量自体はさほど多くありません。
国税については、上記で計算された税額が印字された納付書が送付され、基本的にはそのまま納付することができます。
一方、地方税については白紙の納付書が送付されるため、予定納税額を計算して記入する必要があります。
消費税のみの予定納税の場合は、届いた納付書でそのまま納めていただければ良いので何の問題もないのですが、地方税の予定納税が必要な場合、こちらで計算してお伝えしなければいけないわけですね。
※確定申告書類に翌期予定納税の一覧を添付しているので、それをご覧いただければ済む話ではありますが……。
そうなると、どうしても連絡漏れや納付期限間近になってしまうケースが発生してきます。
弊社では(株)TKCの基幹システム(OMS)を利用しており、顧客管理~税務申告だけでなく、スケジューラや日報、請求管理など、事務所運営に必要な機能が詰まっています。
このスケジューラを開くと「重要業務」のチェックリストが表示されるようになっており、予定納税についてもこのリストを活用していました。
ところが、以前のニュースレターでもご紹介した通り、スケジューラはkintoneに移行しており、OMSのスケジューラを開く機会はほぼ無くなっている状態です(少なくとも私は)。
要するに、予定納税についてシステム的にアラートを出す仕組みが無くなってしまったのです。
ここで最初の図を思い出して欲しいのですが、予定納税の有無・金額は確定申告をした段階で確定しています。じゃあ、アラートを出すなんて簡単じゃないか。そう思いますよね?
でもそれだけではつまらないんです。
せっかくRPAを使っているのに、単にアラートを出すだけ。受け取った担当者は改めて予定申告タスクをRPAに投げるか、自分自身で作業をすることになります。
では、完全に自動化してしまおうと思ったときに問題となるのは、税務システムは依然としてOMSを利用しているということです。要するにkintoneには申告数値のデータが無いんですね。
なら、OMSからデータを切り出せば良いだろう、という話になるんですが、少なくとも一括では最適なデータを取り出すことができず、かと言って1件ずつ個別に抽出するとなると工数が跳ね上がり、RPAの不安定感も増してしまいます。
そんな理由もあって長いことペンディングにしていたのですが、最近ようやく稼働間近というところまで進んできました。
訪問部から業務部へ決算作業を引き渡す際、kintone上で依頼票を作成しており、これを活用すればOMSでは足りない情報を補うことができます。
kintoneでの運用開始当初は、未記入箇所があったりそもそも依頼票を作成しなかったりと、再利用するデータベースとしては不完全なものでしたが、ここ1年くらいはおおむね十分な状態で利用してもらえているようです。
ということで、依頼票を活用する形でRPAフローを組んでみました。
地方税の分割法人(複数の自治体に事業所がある法人)についての集計が調整中ですが、その他については今のところうまく稼働しています。
今回、複数のデータを参照することで定期タスクが組める形となりました。せっかくkintoneで作成してもらっているデータなので、使えるものはどんどん再利用してkintoneであることのメリットを増やしていきたいですね。
システム部 田中