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ぐん税ニュースレター vol.54 page03 -FP通信-

今年1月23~24日に行われた日銀の金融政策決定会合で政策金利が0.25%から0.5%に引き上げられることが決定しました。昨年3月にマイナス金利を解除、昨年7月に追加利上げを行い0.25%に、そして今回の利上げで政策金利は0.5%となりました。

マイナス金利解除の時の記事

0.25%の利上げの時の記事

マイナス金利解除の際の記事で、利上げによる私たちへの生活の影響について金融機関からの借り入れ、特に住宅ローンを念頭に固定金利と変動金利がどのように決まるのか解説しました。
政策の良し悪しは一旦おいておき、今回の記事ではこれに少し補足を加えていきたいと思います。

以前の記事で解説したように変動金利は短期プライムレート、固定金利は10年国債利回りで決まります。さらに短期プライムレートは日銀の政策金利に連動します。

ここで実際に支払う金利は各金融機関が設定する適用金利によって決まります。この適用金利は基準金利から引下げ金利(引き下げ幅)を差し引いて計算されます。基準金利は店頭金利と呼ばれ、変動金利の場合、日銀の利上げはこの基準金利に影響します。
引下げ金利は各金融機関が定める条件があり、通期引下げプラン当初引下げプランがあります。字の通り、通期引下げは完済まで引き下げ金利は変わりませんが当初引下げは返済開始当初から一定期間金利が引下げられます。当初引下げの場合、引下げ期間が終了すると改めて引下げ金利が設定されますが当初期間終了後は引き下げ幅が小さくなることが一般的です。(金融機関によって異なります)。

適用金利=基準金利-引下げ金利


変動金利の場合、年に2回、4月と10月に金利決定のタイミングがある点も押さえておきましょう。つまり今回の利上げの影響は今年の4月から影響が出てきます。
また変動金利には5年間月々の返済額が変わらない5年ルールというものもあります。この時6年目以降の返済額は当初5年間の返済額の1.25倍(125%)以内に定める金融機関も多いです。
この5年ルールは金利変動リスクを抑えるメリットがあるとも言えますが、返済額の元本と金利の内訳が変わっているだけで、例えば金利上昇局面においては金利負担が増えて元本返済が減っていることになりますので注意が必要です。

日銀の政策金利の引き上げは主に変動金利に影響しますので、変動金利を中心に補足を加えました。
では選ぶとしたら固定金利変動金利のどちらがよいのでしょうか。
固定金利は元本含めて返済額が変わらず返済計画が立てやすいというメリットがある一方で、一般的には変動金利よりも高く設定されています。
以前に固定金利を選択する人も増えているという話もありましたが、依然として変動金利を選ぶ人の割合の方が多いようです。
日銀が国債の買い入れを減らしているため固定金利も上昇傾向にあるので、今のうちに固定金利にしておこうという考えもあるかと思います。
個人的な考えにはなりますが、日銀はこれからも利上げスタンスに変更はないものの利上げのペースについてはこれまでの諸外国のような過度なペースにはならないと思います。そのうえで現在の固定金利の水準まで変動金利が上昇するのは時間がかかると思われます。ですので仮にいま変動金利を選び固定金利より低い金利で返済を続けたとして、もし変動金利が今現在の固定金利の水準になったとしてもその頃には元本返済額も減ってきているはずですので変動金利を選ぶ方がよいかと考えています。

実際には日銀がそこまで本当に利上げできるのかは怪しいところもあります。もしそうなったら、その時は本当に経済が良くなっていて健全なインフレ状態で私たちの生活も良くなっているはずですので実質負担は今より軽くなっているかもしれません。と言っても今の日銀に当たり前の正論は通じないので正しい投資・運用の判断をしたい国民にとっては困った話です。今後もコロコロと都合よく根拠を変えながら利上げを進めていくと思われますので日銀の動向には注視していきましょう。

ファイナンシャルプランナー 原


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