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ぐん税ニュースレター vol.38 page01 -ご挨拶-

 空は高く澄み渡り、さわやかな季節となりましたが、あっという間に朝晩が寒く感じられるようになりました。寒暖差が大きい日々が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

 先月号では、人間の能力や適性は高い率で遺伝で決まってしまい、世襲が増えると利権を維持しようという社会傾向が強くなり、社会階層の固定化や日本経済の閉塞感の原因となるということを書きました。これは現在の日本だけの現象でなく人類の歴史で何度も繰り返されてきた社会現象です。どの国でも地域でも平和な時代が続くといつもこういう状況になって貧富の差がどんどん広がっていきます。2014年にトマ・ピケティの「21世紀の資本」という本がブームになりましたが、平和が続くと上位1%の富裕層の国内総生産(GDP)に占める割合がどんどん高くなる、という主張でした。その根拠はr>gという不等式で、資本収益率(r)の方が経済成長率(g)より常に高いということを日本を含む各国の経済データを分析して導きだしていました。つまり、資本収益(株式や不動産などの投資による収益)は国民所得(ほぼ労働所得)の伸びよりも大きいので、資本を持っている人は加速度的に豊かになって、格差がどんどん広がるということになります。
 大戦争や革命、大恐慌などが起きるとこのr>gという関係が崩れて、格差が縮小します。戦争や革命などがあれば支配階級も変わり下克上などが起きやすくなります。しかし、軍事兵器が発達した現代では戦争が起きると悲惨な状況になることは誰もが知っており、また戦争抑止のための制度も機能しているため、大きな戦争は起きていません。自然に解決しないのであれば、現在の社会階層の固定化を打破するためには戦争以外の手段をとる必要があります。

 幸いなことに日本では明治維新という前例があります。維新という言葉を調べてみると維(これ)新(あらた)ということで、すべてが改まって新しくなること、という意味だそうです。革命と何が違うのかというと、革命は主権者が変わることで、フランス革命は主権者は王から国民に変わったが、日本は主権者は天皇で行政府が幕府から明治政府に変わったので革命ではないという人もいますが、フランス革命は国民と言っても下層貴族が支配階級になったようなものですので、支配階級の下克上という意味ではほとんど同じだと思います。戊辰戦争もありましたが戦争に比べれば比較的穏やかに社会を一新したという意味で明治維新は評価されています。
 それでは明治維新みたいな維新を興すためにはどうしたらいいかというと、やはり選挙でそれを目指す政党や候補者を支持するという他はありません。まず自民党や世襲議員には投票しないことです。自民党以外の政党は、民主党政権の悪夢を思い出すと投票できないと思われるかも知れませんが、今のままでは貧富の差はどんどん広がり、利権誘導の汚職議員がどんどん増えるだけです。自民党の世襲議員がバタバタ落選するようになれば自民党も危機感を覚えて少し政策を変更するかもしれません。
 例えば、僕から見ても岸田財務省政権は増税政権でおかしなことばかりしています。インフレ、円安になって上場企業の利益が高水準となり税収が予算より増えたので経済対策を打ち出しましたが、「選挙対策のバラマキ」としか思えません。インフレになると所得も消費も名目額が増えるので自然に税額も増えることになりますので本来なら減税をすべきですが、財務省がNOというので減税をする気はありません。むしろインボイス制度導入による消費税の徴収強化で増税路線に走っています。また、補正予算によるバラマキ、その中には必要性や緊急性に乏しいものが多く意味がありません。そもそも補正予算は本予算に比べて、国会や国民のチェック機能が働かないという問題もあります。このあたりにも利権を維持しようとする政治家や官僚が跋扈しており、国民のための効率的な政府の実現を阻んでいます。国民は今の生活にある程度満足しているので、この国は行くところまで行かないと維新は起きないと僕は思っているので仕方ないなと思ってみていますが、少し歯がゆいです。

 日本経済を効率化するための例として、高いガソリンについての対策をどうするかについて考えてみました。
1. 交差点の赤信号で左折をできるようにする。これは米国や先進国では常識です。渋滞を減らし燃費が良くなります。石油ショックの時に米国をはじめとして先進国では取り入れられましたが、日本は警察が強くて導入されませんでした。
2. 高速道路の料金所を廃止し、オーストラリアのようにETCによる自動課金にする。NEXCOの職員が減るので高速料金が安くなるだけでなく、徐行による料金所の渋滞がなくなるので燃費が良くなります。
3. ライドシェアを解禁し、UBERを使って個人がタクシー事業をやることを推進する。タクシー運転手が高齢化で少なくなっているので、個人が副業として自分の車でスマホにUBERを入れてタクシー事業をするのは何の問題もないと思うのですが。タクシー業界が猛反対していますが、車庫に眠っている車で稼げるようになれば日本経済の効率化に役立つと思います。

 諸外国では普及していることが日本でできていないというのは何故でしょうか?業界団体や政治家が反対しているとしか思えません。他にも日ごろから僕が気になっている日本経済の無駄には次のものがあります。
1. キャッシュレスの普及。いまや韓国や中国よりも日本はキャッシュレスが後進国となってしまいました。「世界主要国におけるキャッシュレス決済比率(2020年)」によると、日本のキャッシュレス決済比率は29.8%。対して諸外国では、韓国の93.6%を筆頭に、中国83.0%、オーストラリア67.7%、イギリス63.9%、スウェーデン46.3%となっています。現金取引は面倒かつ盗難の危険もあるので電子決済や銀行決済の方がいいのですが、なぜか普及しません。現金取引を要求する飲食店は脱税が目的だと思いますし、政治家が裏金を作るために現金取引は温存しておきたいという理由でキャッシュレスは普及しないんだなと思っています。僕自身は可能な限りキャッシュレスです。
2. 過剰な分別ごみ処理の廃止。何度も言いますが、ペットボトルのキャップと包装ラベルをはがしてからペットボトルを廃棄するって、どういう意味があるのか不明です。他の市町村、例えば伊勢崎市ではペットボトルはそのまま廃棄できます。高崎市も焼却炉で包装ラベルもキャップも焼却しているのに、なぜ一般家庭にこんな無駄な作業を強いているのかわかりません。市長と市議会にバカしかいないのと、手間が増えれば増えるほど環境にいい事をしているという気になってしまう環境運動家の工作でしょう。こんな偽善的な無駄な作業は、ごみ収集ルールを変更してしまえばいいのでしょうが、市長も議員も何もしません。
3. 原子力発電所の早期再稼働。高い原油やLNGを買うのではなく、原子力発電所を早期再稼働すべきです。日本にはエネルギー資源がないので核のゴミで困る前にエネルギー不足と輸入代金の高騰で国が滅んでしまいます。もちろん、東シナ海の油田開発も中国に遠慮なんかしないでさっさと開発して欲しいです。親中派の世襲議員が猛反対していると想像しますが、既に中国は活発に日中国境線ギリギリで開発を進めています。
 他にもたくさんありますが、このあたりでやめておきます。

 最後に税理士法人らしい話題というか業務報告を一つ。

 以前に書きました審判請求の件ですが、国税不服審判所に回答書を先週送付しました。前回の反論書も14ページ(添付資料含まず)、今回の回答書も14ページの大作になりました。これで納税者(税理士)の意見と証拠資料の提出は終了し、審理を1ヵ月かけて来年の1月か2月に裁決となります。結果が楽しみです。
 今回、回答書を作成するのに約1週間ぐらいかかりました。税務当局の主張に対して反論していく作業ですが、重箱の隅をつつくような指摘や証拠の恣意的な解釈一つずつを指摘して反論していくので疲れましたが、いい経験、勉強になりました。
 よくよく税務当局の答弁書を読むと、あまり深い考察はせずに更正通知を出してきたんだなというところが伺えて、これなら勝訴できるという気になってきました。税務署も効率性の観点から、長い時間の深い検討はしておらず、上から目線で高圧的な態度で課税をしてきているようなので、不服審判所の審判員には厳正な判断を期待しています。

ぐんま税理士法人
代表社員 小林浩一


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