群青
「もの」の視点で語られるショートショート
田中さんが飲んだり食べたりするお話。
訳あり狐と狸の女の子がルームシェアしながら人間社会で生活していく話。
おしゃべりなぬいぐるみとお散歩に行くお話。
「かわいい」に強烈な憧れとコンプレックスを抱きながら生きる女の子のお話。
最近、古本屋に行くのが楽しい。 気になったタイトルを見つけたら手にとって表紙を眺める。食事をテーマにした小説が好きなので、食べ物がタイトルに入っていると高確率で目に留まる。表紙に美味しそうな料理が描かれていたら嬉しくて仕方ない。買い物かごに入れて別の本棚をチェックしていく。 少ない予算でたくさんの物語と巡り合えるのは有難い。面白かったら同じ著者の新作を新品で購入する。ちゃんと好きな作家さんを応援する気持ちだってある。古本屋はきっかけに丁度良い場所だ。 ただ、古本屋に
普段、こういうの言えないけど、ちゃんと言えてよかった。 店員さん優しかったし、チャイもアールグレイもおいしかったから実は得した気分だったり。
ご無沙汰してます、群青です。 夏休み期間中は子どもがいるので、小説を書くことに集中するのは難しいなぁと思い、刺繍を始めたらすっかりハマっちゃいました。 中でも、フレンチノットステッチにどっぷりです……! フレンチノットステッチとは、簡単に言うとポチッとした玉止めを縫い付ける刺繍方法です。 布の上に点で絵を描くってイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。 こんな感じです。 ひと粒ひと粒、丁寧に埋めていく作業が楽しくて、ずっと続けられる趣味を見つけたこ
一旦毎日投稿をストップします! 角川つばさ文庫新人賞への応募に向けてラストスパート、頑張るぞ〜!
初めてのお仕事は、おきがえとタオルを運ぶこと。 れんらく帳は一番上の小さなポケットに入れて、ボクよりも小さな背中におんぶされてたんだ。 しばらくすると、小さな背中は少しだけ大きくなった。 ボクの仕事はなくなった。 真っ黒でピカピカのアイツが、教科書やら筆箱やら詰めて、毎日キミにおんぶされている。 勉強机のイスにぶら下がっておるす番はあきたよ。 またキミとおでかけしたいな。 ある日の夜、キミはボクの口をいっぱいに広げて、ビニールシートを入れた。それからポケ
私は結婚式の引き出物としてこの家に来ました。 持ち主の名前が刻まれているので、基本的に他の方は使いません。 明るい。引き出しが開いたみたい。 手が伸びる。私を掴む。最近は出番が多くて嬉しいです。 ガシャガシャと音がしたと思ったら、カラロンと氷が身体の中に入ってきました。中が冷えると部屋の空気が余計に暑く感じます。ガラスの肌に汗が垂れていきます。 持ち主は近くにあった布巾でサッと私を拭いて、トクトクトクッとお茶を注ぎました。いい香り。今日はアップルルイボスですか。
指先に痛み。右薬指の腹にすーっと赤い線が走っていた。商品に血がついてしまっては大変。滲む前にエプロンのポケットから絆創膏を取り出す。 本屋で働くようになって、指の水分が紙に持っていかれるので、常に乾燥に悩まされている。ひどい時は今日みたいに切れてしまうから、絆創膏が欠かせない。 「こればっかりは仕方ないよね」 仕事帰りのドラックストアで独り言ちる。無香料タイプのハンドクリームと絆創膏をカゴに入れてレジへ向かった。 途中、ネイルコーナーの前で思わず立ち止まる。
帰宅して早々玄関に座り込む。 今日は疲れた。雨のせいなのかダルかったし、週末はお客さんが多くて、いつもより忙しかった。 こんな日は栄養なんか二の次。今食べたいものを食べるのが一番。自分の心に「ご注文は?」と問いかけてみる。 卵が食べたい。卵焼きじゃなくて、もっと緩くてトロトロの卵。でも卵かけご飯じゃ物足りないかも。それなら── 「親子丼だな」 そうと決まったら、気が変わらない内に動き出す。 勢いよく立ち上がり、トートバッグをソファに投げて、キッチンへ向かった
コインランドリーの駐車場は、雨ということもあって混んでいます。運よく1台分のスペースが空いたので、滑り込むことができました。 「奈子の日頃の行いが良かったからだね」 「お役に立てて光栄です」 傘を差しながら、えっちらおっちらと布団を運びます。猛烈な熱気にお花の香りが混じっています。柔軟剤の香りでしょうか? 店の外壁を見るとダクトがいくつもあって、そこから噴き出しているようです。 自動ドアを潜ると、店内はちゃんと冷房が効いていました。いつもならこういうとき、はぁ~涼
しとしと雨の中を歩く。ガードレールの足が一本、また一本と通り過ぎるのを眺めていると、思い出すことがある。 「小学生の頃、朝は姉ちゃんと一緒だった。お母さんが一緒に登校しなさいって言ったから。でも、姉ちゃんは仲の良い友だちとおしゃべりがしたかった。弟の面倒なんて嫌だったんだよ」 独白のようなボクの言葉だって、ポーチの中の君は聞いてくれる。だからボクはそのまま話し続ける。 「ボクは姉ちゃんの友だちにいっぱい話しかけた。姉ちゃんは生意気だって思ったみたい」 「人の友だちを
可愛いものを身に着けるのは緊張する。だって私には似合わないから。 気の良い友人はその話をする度、「誰かのためじゃなくて自分を上げるためにやるんだよ」と言う。 理屈はわかる。でも、難しい。 少なからず生まれ育った家庭環境に原因があると思う。人のせいにするなんて自分でも卑怯だとは思っている。でも、私がそう感じていることは紛れもない事実だから。 兄と弟は、私が可愛いものを手にする度、私をからかった。家はいつもお金に苦労していた。それなのに「女の子だから」という理由で新
『みるくに食べてもらいたいから』 休憩中に届いたメッセージに顔がほころぶ。送り主は大学の同期であり、今も変わらず交流のある友人だ。 その夜、友人は仕事帰りにわざわざ私の家に寄って、葡萄を届けてくれた。無性に葡萄が食べたくなったけど、一人で食べるには量が多かったらしい。 ビニール袋の中を見ると、一房のデラウェアがいた。葡萄と聞いていたから勝手に大粒のものを想像していた。いや、友人は間違っていない。ただ私が頭の中でデラウェアを「葡萄」ではなく別のカテゴリーに分類していた
キャラクターの紹介はこちらからどうぞ。 ◇ ◇ ◇ ◇ 山を下りて人間のように生活し始めてから、雨が憂鬱になりました。 梅雨の時期は、特にお洗濯が大変です。突っ張り棒を駆使して部屋干しされた洗濯物たち。エアコンを除湿モードにしてサーキュレーターを使っても、晴れの日のようなカラっとした渇き方はしません。 節約のためエアコンをつけるのは居間だけ。いつもは自室で執筆する梨花ちゃんも、この時期は居間にノートパソコンを持ってきてカタカタとさせています。 コーヒーのおかわり
6月、梅雨到来。今日も雨が降っている。それでも、毎日散歩は欠かさない。散歩はボクの生活の大事な一部だ。 レインシューズにはこだわりがある。爪先を滑り込ませるだけで履けるものがいい。だから流行りの靴紐タイプはなし。色はどんな服にも合わせやすい黒。ちょっと高かったけど、色々見てから買ってよかったと思う。大切に使っていきたい。 あと、傘にもこだわりはある。ビニールタイプで周りが良く見えるもの。こちらはコンビニなんかで買える安価なものでもオッケー。どこにでもある傘だとお店の