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昔のゲームミュージックをピアノで演奏したい!(楽譜作成)

『ソーサリアンエンディングI』のMIDIデータを入手したので、「MuseScore」を使って楽譜を作成します。入手の経緯については別の記事をご覧ください。


なお、今回が初めてMuseScore使用します。手探りしながらでしたが、MIDIファイルをピアノ用の楽譜にしました。その手順を説明します。この記事ではWindowsを使用していますが、Macでもほぼ同じ手順です。

なお、使用するMIDIデータですが、元の楽曲の権利を持つ日本ファルコム株式会社様は、「音楽フリー宣言」しており、無償であれば使用するが認められています。また、MIDIデータ作成の同人ソフトサークルORPHEのYAMA様からも、この記事におけるデータの使用および一部改変の承諾をいただいております。


1. MIDIファイルの読み込みと再生

まず、前記事でダウンロードした「SOREN1.LZH」より、「SOREN1.MID」を取り出します。LZHファイルの解凍には、「Explzh for WIndows」を使用しました。

次に「MuseScore」で「SOREN1.MID」を開きます。
「ファイル」メニューから「開く」を選び、「SOREN1.MID」を開きます。

MuseScore ファイル-開く メニュー

これで楽譜が自動的に表示されます。

MIDIファイル読み込み後

楽譜を確認するために、右上の「再生」ボタンを押して演奏してみましょう。途中から再生したい場合は「巻き戻し」ボタンを使用します。

再生コントロール

初期設定のままだと音色が不自然に聞こえるかもしれません。これはMIDIファイルがRoland社の「SC-88Pro」での演奏を前提に作られているためです。楽譜作成には支障がありませんが、気になるので音色の変更に挑戦しました。

2. サウンドフォントの読み込みと音色の変更

「MuseScore」では、「サウンドフォント」を読み込むことで様々な音色を使用できます。
「サウンドフォント」とは、MIDI楽器に変換されたオーディオサンプルを集めたものです。
SOREN1.MIDが、RolandのSC-88Proで演奏されることを想定されていました。
SC-88Proについては以下の記事が詳しいです。

ネット上にはSC-88Proのサウンドフォントがいくつか公開されています。ただし、調べていくと著作権上問題がありそうなので、結局使用しませんでした。ピアノパートには大きく影響しないので、このまま楽譜作成を続けます。

3. ピアノ演奏用の楽譜修正

次に、楽譜をピアノ演奏用に整えます。

ピアノパートのみに表示を変更

左パネルの「楽器」タブを選択し、楽器の一覧からピアノ以外を非表示にします。非表示にするには、目アイコンをクリックして閉じます。

「楽器」タブ

楽譜はピアノのみになります。

ピアノパート

この状態で再生するとピアノパートのみを再生します。

最初の四分休符の削除

楽譜が全体的に四分音符分ずれているため、最初の四分休符を削除して修正します。

楽譜の最初

まず、ファの音符をクリックして、選択します。

ファの音符を選択

次にシフトキーを押しながら、最後の小節を選択します。
最初の四分休符を除き選択した状態となります。

楽譜選択状態

「編集」メニューの「切り取り」を選択します。(あるいはCtrl+X)

MuseScore 編集 - 切り取り メニュー

次に最初の四分休符を選択します。

四分休符の選択

「編集」メニューの「貼り付け」を選択します。(あるいはCtrl+V)

MuseScore 編集 - 貼り付け メニュー

これで楽譜が前にずれました。

楽譜貼付け後

テンポ記号の位置修正

八分休符を削除したことでテンポ記号がずれています。4分音符分前にずらします。

テンポ記号移動前

テンポ記号のある音符の前の音符(正確には四分音符分前)を選択します。
左パネルの「パレット」タブを選択します。

「パレット」タブ

テンポをクリックし、四分音符のテンポ記号を選択します。

テンポ記号の選択

すると音符にテンポ記号がつきます。

テンポ記号

追加したテンポ記号を右クリックし、「要素を編集」を選択します。(あるいはF2)

MuseScore 要素を編集 右クリックメニュー

編集可能状態になるので、80を70に変更します。

テンポ記号の編集

もともとあったテンポ記号を選択、右クリックし、「削除」を選択します。(あるいはDEL)

MuseScore 削除 右クリックメニュー

これで1つ目は完了です。残る2つも同じように変更します。

テンポ記号 修正後

これでテンポ記号の位置は修正完了です。

途中のヘ音記号をト音記号に修正

読み込んだMIDIファイルでは、途中にヘ音記号が入り、またト音記号に戻っています。ピアノ練習目的ではわかりにくいため、これをなくします。(へ音記号後の音符の位置を修正します。)

へ音記号

ヘ音記号を選択し、Ctrlキーを押しながらト音記号を選択、右クリックを押し、削除を選択します。(あるいはDel)

MuseScore 削除 右クリックメニューメニュー

自動的に音符の位置が変わります。

ヘ音記号削除後

同じ箇所が2箇所あるため、同様に修正します。

繰り返し記号の設定

曲の構成に合わせて繰り返し記号を設定します。曲は以下の構成になっています。
A→B→B→C→A→B'
今回はB→Bの部分を繰り返すようにしました。
Bに該当する部分は、5~21小節目と22小節目~38小節目です。
5小節目を選択します。

5小節目を選択

左パネルの「パレット」タブを選択し、「繰り返しとジャンプ」をクリックします。
「繰り返し開始記号」をクリックします。

繰り返し開始記号の選択

繰り返し開始記号が楽譜に反映されます。

繰り返し開始記号

次に、21小節目を選択します。

21小節目を選択

左パネルの「パレット」タブの「繰り返し終了記号」をクリックします。

繰り返し終了記号の選択

繰り返し終了記号が反映されました。

繰り返し終了記号

5~21小節を繰り返し指定したので、22~38小節は不要になるので削除します。
22小節目をクリックし、シフトを押しながら38小節目をクリックします。

22~38小節を選択

右クリックし、小節を削除を選択します。(あるいはCtrl+Del)

MuseScore 小節を削除 右クリックメニュー

ここまでの修正で、曲が正しく再現されているか再生して確認します。ちなみに他の楽器を再生すると、最初の四分休符の削除が反映されないため、ずれてしまいます。

4. 楽譜への情報追加

完成した楽譜に、運指や音階を追加して、ピアノ練習をしやすくします。

タイトルの追加

楽譜にタイトルを追加します。
「追加」メニューの「テキスト」ー「タイトル」 を選択します。

MuseScore 追加 テキスト タイトル メニュー

楽譜の最初部分にタイトル枠が挿入されます。そのままタイトルを入力します。

タイトル枠

自分は、「Ending1 - ソーサリアン SORCERIAN」としました。

タイトル

運指の記載

音符に指番号を記載して、指の動きを示します。親指を1、小指を5として記載します。
最初の四分音符をマウスでクリックします。

最初の四分音符を選択

「追加」メニューの「テキスト」-「運指」を選択します。

MuseScore 追加 テキスト 運指 メニュー

指番号を入力します。指番号を入力し、スペースキーを押すと次の音符へと移動していきます。以下の画像は、4→スペース→1→スペース→4→スペース→1→スペースと入力した場合です。シフトを押しながらスペースを押すと前の音符に戻ります。

運指の入力

同じように下のパートも登録します。

運指

運指登録後、修正があった場合は、運指をダブルクリックすると修正することができます。そこからスペースキーで前後することができます。 

音名の記載

音符に音名を記載します。
最初の音符を選択し、右クリックして、「選択」-「類似した要素」を選択します。

MuseScore 選択 類似した要素 右クリックメニュー

左パネルの「プロパティ」タブをクリックし、下にある「表示を増やす」をクリックします。

「プロパティ」タブ
「表示を増やす」
「表示を増やす」クリック後

「符頭スキーム」で、「音名」を選択します。

「符頭スキーム」の設定

符頭に音名が表示されます。

音名表示

これにて、楽譜の修正は終了です。

5. 楽譜の印刷準備

楽譜が完成したら印刷します。ただし、このままだと4ページ目に最後の4小節しかないため、3ページに収まるように調整します。

修正前の楽譜イメージ

譜線間隔の調整

音符が小さくならないように、譜線間隔を調整する方法で対応しました。
音符等を選択していない状態で、左パネルの「プロパティ」タブを選択し、「ページ設定」をクリックします。

「プロパティ」タブ

「ページ設定」ウィンドウが表示されますので、「譜線間隔(sp)」を変更します。
「0.069in」を「0.068in」に変更しました。

「ページ設定」ウィンドウ

この方法で、楽譜が3ページに収まることを確認しました。

修正後の楽譜イメージ

6. PDF作成と印刷

最終的に、楽譜をPDF形式で保存します。「ファイル」メニューの「エクスポート」をクリックします。

MuseScore ファイル エクスポート メニュー

「エクスポート」ウィンドウが開きます。以下の設定を行い、「エキスポートボタン」を押します。
エクスポートするパートを選択:「総譜」のみ選択
フォーマット:「PDFファイル」
「すべてのパートを1つのファイルにする」を選択

「エクスポート」ウィンドウ

「ファイル保存」ウインドウが表示されますので、保存場所を選択し、ファイル名をつけて。保存します。

保存したPDFを印刷します。私はコンビニエンスストアでプリントしました。

まとめ

これでピアノ練習用の楽譜が完成しました。今回の手順で他のMIDIファイルも同様に楽譜にできると思います。
しかし、この楽譜には右手用と左手用に分けられていないため、音符が重なっている部分があります。この点についてはピアノの先生に相談して、さらに調整を行う予定です。

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