「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育 誰のことばにも同じだけ価値がある」を読み終えて
差別のない社会をつくrインクルーシブ教育
誰のことばにも同じだけ価値がある
野口晃菜 喜多一馬編著
学事出版
2022.10.26
ブックデザイン
予想よりもはるかに範囲が広い
大切にしてきたであろうこと
ブックデザイン
手にした方はすぐに感じたのではないでしょうか。
あたたかな表紙、そして手触りのよさ。
執筆チーム皆さんで決めたのか編著のお二人で決めたのかはわかりませんが、手にした瞬間になんとも言えない「優しさ」が伝わってきた一冊です。
ここ最近、こんな感覚で読み始めた本があっただろうかと自分の記憶をずいぶんと遡らせることになりました。
手触りもさることながら、表紙のイラストからも「優しさ」「あたたかさ」が伝わってきます。
でも、その優しさの中にあるタイトル「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育 誰のことばにも同じだけ価値がある」からは確固たる信念が伝わってきます。1枚めくったページにも同じ縦書きでタイトルがありました。縦書きも含めたこの表現と「ことば」に皆さんの思いが詰まっているのだろうなと想像しました。
予想よりもはるかに範囲が広い
「インクルーシブ教育」と銘打っていますので、これから読まれる方は「教育」の話、教育実践の話が中心なのかと思うかもしれません。でも実際には皆さんが予想されるよりはるかに広い範囲の内容になっているかと思います。執筆チーム皆さんの面々を見れば想像できる人もいらっしゃるのかもしれませんが、この面々でこの内容構成で「教育」を語ることができるのが「あぜみ」の凄さですね。特別支援教育の限定的な狭い話ではないのです。教育的ニーズのある子どもたち(人たち)全体をここまで網羅している書籍はないかもしれません。縦軸と横軸それぞれのレンジがとにかく広いです。「学校を出たあとの暮らし」から入り具体を共有しつつ、学齢期の授業実践まで紹介されています。その取組一つ一つが一冊にできるぐらいの濃度で描かれています。先進的な取組はもちろんですが、しんどさを感じたことまで赤裸々に綴られている部分もあります。もしかしたら他の教育実践本とは書き手のコンセプトが違うのかもしれません。
大切にしてきたであろうこと
世に出されたばかりの一冊ですので、もちろん内容に直接触れるようなことはしませんが、どのパートを読み進めてもこの一冊を作る上で大切にしてきたであろうこと、これまでのあぜみで皆さんが大切にしてきたであろうことは一貫していました。タイトルにもある「誰のことばにも同じだけ価値がある」ことはきっと読まれる皆さんが感じられると思います。そして、その価値一つ一つが非常に重たいです。少なくとも私個人には非常に良い意味で重たかったです。重厚と言うのかもしれません。
読み進めるたび、ページをめくるたびに自分のあり方が問われている感覚になります。
気付く、考える、考え直す、問い直すきっかけがそこら中に埋め込まれています。
最後にこれからの未来を担う学生さんたちの思いが綴られていました。
その真摯な思いに一つでも応えられる大人でありたいと思います。
新たな学びに感謝して。