セールだから何か買うものないかな、みたいなのは引っかかる
ブラックフライデーである、セールである、と世間もチラシもネット広告も賑わっているようだ。数年前から日本では唐突に出てきた感のあるブラックフライデーとやらがセールを指すのは未だに馴染まない。なんならブラックと付いているだけで、お得よりも邪悪を含意しているような気さえしてしまう。
それはそうと、ブラックフライデーなので何か買うものないかな、みたいなスタンスの発言や投稿をちらほら見聞きしたので、やや首を傾げてしまった。
元々欲しいものがあって、それがセールで安くなったから買い時だ、というのならわかる。だけど、現時点では特に欲しいものがあるわけでなく、なのにセールだから欲しくなりそうなものがないか探そう、というのは本末転倒じゃないのか、という気がする。
つまり、普段買わないでセール時を狙って買うのはお得だからだ。それでも、買うからには出費はゼロではない。コストだけで言うなら「買う>安く買う>>>買わない」という厳然たる差がある。
そして、欲しいものがないなら何も買わなければ出費は完全にゼロであって、これが状態としては一番「お得」なはずなのだ。
お金と引き換えても欲しいだけの何かがあり、それが安く手に入るからこそお得なのであって、欲しいものがないなら何を買ってもお得になることはない。たとえば、嫌いな食べ物を山ほどタダで送ってくれてもまったく嬉しくないのと同じだ。
欲しいものがなければ、わざわざ探してまで何かを欲しがる必要もないんじゃないか。よく「買う理由が値段ならやめとけ」などと言われるが、セールを機に欲しいものを探すのは、まさに値段だけで買おうとしている行為だろう。
などと言いつつ、セールをやっている店やショッピングサイトを眺めるのがウインドウショッピングのようなものだ、というなら納得はできる。見るだけでも楽しいというのは確かにあるからだ。そして、惹かれたものが手頃な値段になっていたなら買うのもアリだろう。
大して欲しくないものを安く買うためだけに時間を割くのは高コストだと思うが、楽しみながら見て回るついでに欲しいものを探してみるのなら、悪くない趣味だと感じる。
たぶん、セールに振り回されているか、自分なりの欲求をきちんと制御できているか、というところが違うんだろうと思う。