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カードローン広告の引っ掛かるところ
多くの広告は、商品やサービスを利用するシチュエーションを設定して、ぜひうちの商品・サービスを使ってね、という形で訴求する。
運動部の部活シーンの後にスポーツドリンクの宣伝をするとか、トイレが壊れた状況から水回り修理サービスの宣伝をするとか。
カードローンの広告も同様に、「カードローンというサービスを使いたくなるシーン」を示した上で、実際のサービスを宣伝している。
が、このシーン設定、かなり苦しくない? と思ってしまう。
海外旅行に行きたいけれど手持ちのお金がないとか、ブランド物のバッグがほしいけれど口座の残高が少ないとか、そういう設定なのだ。
そんなの、今お金を持ってないなら我慢すればよくない?
ローンの利用は、家や車みたいな高額なものを買うならわかるし、事業を興す際に融資を受けるケースも理解できる。
だけど旅行とかブランドバッグの購入とかは単なる消費行動で、食料や医療のような必要性・緊急性が高いものでもない。なら給与や報酬が入るまで我慢しなよ、としか思えないのだ。
お金がないのに、自己投資でもなく、贅沢したいからお金を借りるという状況を前提とするサービスが存在することも、そのような広告を見て「利用しよう」と思う人が存在するであろうことも、かなり不健全に思える。
カードローンの需要説明に当たるシーン設定が苦しいほど、社会に益をもたらす類のビジネスでないことが露呈しているようでキツい。反社会的なビジネスが白昼堂々と宣伝しているような違和感。それがごく普通の大手銀行によるのだから、倫理はどこへ消えたという気にもなる。
単なる贅沢のための借金は身を持ち崩す原因にしかならないと思うが、それを推す広告の制作者や銀行側はそれでいいのか。
そういう引っ掛かりが、カードローン広告にはある。