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微笑ましいからって笑っていいとも限らない
笑顔というのは基本的に喜びや幸せを示すもので、家族なり友人なり恋人なりの親しい相手と笑顔を交わすのは心の温かさをもたらす。
が、それは親しい相手だからこそ、という面もあるようだ。
不仲な相手はもとより、別に親しくもないが仲が悪いわけでもないといった中立的な相手でさえも、理由なく笑われると落ち着かない気持ちになったり、気まずい感じになったりすることがある。
笑われたことで何かバカにされたような気がした経験のある人もわりと多いんじゃないだろうか。
よく、大人が子供を見て「微笑ましい」という思いから笑ったら、子供は怒り出すということがある。これも、大人からバカにされたような気持ちになるかららしい。大人としては決してバカにするつもりはないけれど、子供にはそう感じられてしまうというわけだ。
喜怒哀楽で言えば、笑顔の指す感情は基本的に喜か楽だろう。なのに、どうして笑みを向けられて不快になるんだろうか。ちょっと不思議だ。
ひとつ思うのは、本人が相手に対して明らかに格上だと見なしていたらなかなか「微笑ましい」みたいな感情は湧きにくいだろうから、逆に言えば微笑ましさを感じられている時点で、どこか侮りが生じていると受け取るのかも知れないということだ。
笑っていたほうがいい場合は多いと思うけれど、笑っちゃいけないこともあるんだろう。可愛くても、微笑ましくても笑わずに向き合う。これもひとつの尊重の形か。