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『セッション』

2023/7/11
主演=マイルズ・テラー
監督,脚本=デイミアン・チャゼル

腐女子の子と、ハンナアーレント好きな青年と、映画いった。終わったあと、ひとりは「ハッピーエンドでよかった!」って言ってて、もうひとりは「教育って洗脳なんだな…」って言ってて、私は「モラハラと復縁したあかんってえー」って言ってた。カオス。

ボクちゃんとオッサンが目指してるもの、芸術至上主義って言葉があるから理解できるけど、やっぱり不合理やと思っちゃうな。パワハラするやつが業界を牽引するなんてあかん。オッサンはgood jobの二言が一番だめだ、ジャズが死ぬって言ってたけど、あいつの指導のせいで自殺してる子おるからなあ、、おまえの追い求めるそのジャズの生命とやらは人ひとりの生命よりも重いんか?と思う。

ジャルジャルの「江戸っ子探偵練習させられる奴」これこわいからおすすめ。
ボクちゃんはオッサンのお眼鏡に叶うよう必死で練習してたわけだけど、破局して復縁してまたモラハラされて、それでも再度ステージに上がって主導権を奪う演奏をするのよね。でもこれは、主人公による師の超克というよりは、2人して同じものを夢見ていて、最後2人でそこに到達したかんじ。だから同期のひとりは「ハッピーエンドでよかった!」と言ったわけだけど、もうひとりは「教育って洗脳なんだな…」って言ってたわけだ。でもねえ、オッサンがボクちゃんを洗脳するというより、オッサンもまたなにかに取り憑かれていて、もはや主体は人間の側にないのだよね。そのことに関する是非は上記と被るけど、、そうだな、お互いにどんぱちやり合って結果納得のいく芸術に辿り着くなら2人はそれでいいと思うけど、心配するお父さんとか、わけわからん振られ方した彼女とか、自殺した学生とか、ひとりの天才が誕生する/を育て上げる過程で大いに傷つけられた周りの人間のこともちょっとは考えてほしい。これはなんとなく私、仕事する上でこの考えは握りしめとこうと思ってる。「才能」に迎合しないこと!

私あんまり映画観てこなかったから、こうやって同期に誘ってもらって仕事終わりに映画いくの楽しいな。この日ちょっと疲れてたから、直帰してこまこましたこと考えるより、大画面大音量でジャズを聴けた満足感がでかかった。オッサンの怒号もかなり聞いたけど。
いっしょに行ったかれらは物語の切り取り方とか言葉選びが対局というか、「だれにいちばん共感した?」って訊かれて、共感とかいう軸で観てなかった彼が狼狽えてたのも面白かった。彼女は『にじいろのさかな』を読んで、「アイデンティティを削り取って差し出すことを強要されるなんてひどい話や」って憤慨してるような子で、雑だけどたしかにその観点なかったわと思うような話をよくしてくれる。ひとの感想聞いて二度おいしい!みたいな気持ちになるね。

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