「千鹿頭」
2024/01/14
@調布市文化会館たづくり
すごかった!すごかった!
これ無料なの信じられん、お金払わしてほしい。応援させてほしいこの芸術活動を。
映像作品って途中そわそわしちゃうというかある程度見てまあいっかって離れちゃうことが多いけど、しっかり40分見入った。息してたかも怪しい。
会期はそこそこ長かったのに見つけたのが超年末で、帰省長く取ったからもう無理かなって諦めてだけど、終了前日にこの企画のリンク送ってた2人から行ってきたって連絡もらって、開トツで滑り込み鑑賞してきた。早起きして調布まで行って良かった。諦めて行ってない世界線あったの恐ろしいな。
草土を模した衣装の男が、白い紗のような衣装の女と出会った瞬間、この2人はまじわるだろうと思った。境界を跨ぐ時のずれが、映像の不自然な途切れで表されていて、どきどきした。出会ってからまじわるまでの駆け引きというのは、ありとあらゆる出会いに際して行われているものだと思うけど、あれは異質な他者に自分を這わせるための動きなんだなって理解した。ベクトルの異なるもの同士が、そのまま出会うとぶつかっちゃうから…。バントする時に球に合わせてバットを引いてちょっと勢いを殺すやつと同じ。あれはそれでも衝突やけど。
まじわって、産まれて、男が屍になるのを見て、カマキリのメスが交尾のあとにオスを食べるのを思い出した。胞衣から女が這い出てくる様は、セミの羽化を思わせた。男はかなり動物的だったけれど、女は(衣装のせいと、最近高原英理『日々のきのこ』を読んだせいで)きっときのこだと思った。と、同行者に話すと、「たしかに、分解する者だもんね」と言ってた。