「 犬と花の種 」
「犬と花の種」
風のように、足の速い犬がいました。
この辺りの野原も森も、すっかり走りまわったある日、
犬は違う世界を見てみたくなりました。
「ここを旅立ってまだ知らないどこかへ行くよ。」
犬が野原の草花たちに挨拶をして走り去ろうとしたとき、
小さな花や草たちの声が聞こえてきました。
「それなら種を連れって。一緒に冒険させてやって。」
そこで犬は、野原のあちこちをゆっくり走りまわり、
草花の種を、色とりどりの飾りのように
カラダいっぱいにくっつけました。
それから、野原の草花たちの声に見送られながら、
ちょうど吹いてきた風と一緒に、
犬は軽やかに出発しました。
熊本の小さな集落で、ひょうたんを育てながら、 「お話とらんぷ」をテーマに、ひょうたんの らんぷをつくっています。 イヌ、ネコ、山の暮らしの風景と、 らんぷのことを、 少しずつ書きます。