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「 朝日の娘と夕日の娘 」

山の東に、朝日の娘とオオカミ犬が住んでいました。
朝になると山の端に立って、一緒に朝日を迎えます。

ある日、朝日の娘が「お日様は、わたしたちの頭の上を通り過ぎたあとに
どこへ行くの?」と不思議に思いながらオオカミ犬に聞きました。
「さあ、しらないな、、」東のオオカミ犬は困ったように応えました。

その山の西には、夕日の娘とオオカミ犬が住んでいました。
夕方になると山の端に立って、一緒に夕日を見送ります。
ある日、夕日の娘が、「わたしたちが見送って次に会うとき、
お日様はどうして反対からくるの?」と
不思議に思いながらオオカミ犬に聞きました。
「さあ、しらないな、、」西のオオカミ犬は困ったように応えました。

それをツバメが聞いていました。
ツバメは、そろそろ南への帰りじたくをしようと
飛びまわっているところでした。

「南へ帰る前に、あの2人を会わせてあげなくちゃ。」
そこでツバメは朝日の娘のところへ行き、
「山の真ん中の大きな木のところへ行けば謎は解けるよ。」と言い、
それから夕日の娘のところにも行って、同じように言いました。

秋分の朝、朝日の娘と、夕日の娘はそれぞれオオカミ犬に乗って
大きな木のところにたどり着きました。
2人はお互いの不思議に思っていたことを打ち明け合うと、
入れ替わってみることにしたのです。
そこで、東のオオカミ犬と西のオオカミ犬に乗って、
それぞれ山の端へ戻りました。

次の朝、澄んだ空気の中で、夕日の娘は初めて
朝日が昇ってくるのを見ました。
いつも見ているお日様が、新しい光の姿をしていました。

その夕方、朝日の娘は初めて夕日が
地平線に溶けていくのを見ました。
いつも見送るお日様が、しみじみとした金色の姿をしていました。

その様子をうれしそうに眺めながら、
ツバメはホッとして南へ旅立っていきました。

その日から、ときどき2人の娘は入れ替わって
お日様を迎えたり、見送ったりしているのだそうです。


熊本の小さな集落で、ひょうたんを育てながら、 「お話とらんぷ」をテーマに、ひょうたんの らんぷをつくっています。 イヌ、ネコ、山の暮らしの風景と、 らんぷのことを、 少しずつ書きます。