いちばん仕事ができる彼はそのとき。
浪人中から大学4年生まで、5年ほどMのマークのファストフード店でバイトしていた(謎の伏せ字)。
ちょうど私が入ったばかりのころ、バイトの中でいちばん上の人はめちゃくちゃ仕事ができて、マネージャー職の中でも最も信頼・尊敬されていた。仕事のひとつひとつのスピードも速いし、他の人たちへの指示も的確だ。指示が見当違いだったりすると反感を買う場合もあるが、彼の采配はいつも絶妙だった。
その人は当時大学3年か4年で一緒に働いた期間は短かったが、トータル5年いてあの人以上に仕事できて人は他にいなかったなー、と思う。
彼は自分にも他人にも厳しく、例えばほかの人は社員がいないときにこっそり廃棄の食材を休憩する店員が買ったものに入れたり…みたいなことがたまにあったけど、彼がいるときは無理、というようなことを先輩たちが言っていた。
私はとろいので、彼と同時インするときは(勤務することをインと言った)とても緊張していた。気を抜いたり失敗したりしないように気をつけなければ、といつも以上に思った。
たまたまお客さんが少なくなったタイミングでその人が話しかけてきた。怒られるのでは? と思った私にかけられた言葉は、意外なものだった。
「(名字)さんの柔らかい雰囲気、いいと思うんだよね、その話し方とか笑顔とか、お客さまもなごませられると思うんだよ。俺にはないものだからさ」
とてもびっくりした。まさかほめられるポイントがあるとは。そして、とてもうれしかった。今もたまに思い出す。
仕事ができる人、能力がある人は、人の長所を見つける能力にも優れている。
今もそれは思っていて、社会人生活で得た認識だと思ってたけど、はじめにそう思わせてくれたのはこの人だったんじゃないかな。
彼のようにテキパキはできないけど、同じように人の能力に気づける人になろうと思う。
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