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ウィーン室内弦楽オーケストラが奏でる、3つの「アヴェ・マリア」

クリスマスが近づくと街は特別な雰囲気に包まれます。

通りを彩るイルミネーションは、キリスト教を信仰していない日本人でも心がワクワクしますよね。

この時期、楽しみなのが各地で行われるクリスマス・コンサート。

今年で24回目を迎える「クリスマス/アヴェ・マリア」のコンサートに先日、母と行ってきました。

東京・上野の東京文化会館で開催されたこのコンサートは、2000年から続くクリスマス恒例のイベント。

ウィーンで活躍する音楽家たちによる室内弦楽オーケストラが、クリスマスの名曲を届けてくれます。

編成はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの弦楽合奏で構成されています。曲によってはソプラノやハープが加わり、さらに豊かで美しい響きがホール全体に広がります。

その旋律は繊細でありながら深みがあり、やわらかな音色が心地よさをもたらします。

中でも印象的だったのはバッハ、シューベルト、カッチーニによる3大『アヴェ・マリア』。
ソプラノの透き通るような清らかな歌声は、まるで心が洗われるかのようでした。

コンサートはクラシック音楽にくわしくない人でも気軽に楽しめる内容となっています。
誰もが一度は耳にしたことのある名曲ばかり。

クリスマスシーズンにぴったり!
贅沢で心温まるひとときとなりました。

『アヴェ・マリア』とは?

「アヴェ・マリア」はラテン語で「おめでとう、マリア」や「こんにちは、マリア」という意味。
そして、カトリック教会の祈りの言葉がもととなっています。

この祈りは長い歴史の中で多くの作曲家にインスピレーションを与え、さまざまな美しい音楽作品を生み出してきました。
ソプラノの歌声と弦楽器の調和が生み出すその響きは、聴く人の心に深い感動を与えます。

「アヴェ・マリア」のルーツは、9~10世紀に生まれた「グレゴリオ聖歌」にさかのぼります。
その後、多くの作曲家がこのテーマに取り組みました。

中でも有名なのが、バッハ、シューベルト、カッチーニの「3大アヴェ・マリア」です。
それぞれが独自のスタイルで聖母マリアへの祈りを音楽で表現していて、今でも多くの人に愛され続けています。

3曲の『アヴェ・マリア』を聴き比べてみよう!

1.バッハ(グノー編曲) の「アヴェ・マリア」
フランスの作曲家グノーは、バッハの「平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 ハ長調」の前奏曲を伴奏にグノーが新しいメロディーを重ねました。

まさに!有名な2大作曲家による夢のようなコラボといえる特別な作品といったところでしょうか。

歌詞にはラテン語の「アヴェ・マリア」という祈りの言葉が使われていています。
その響きは聴く人の心を穏やかにし、気品ある雰囲気が会場を包みます。

2. シューベルトの「アヴェ・マリア」
1825年にオーストリアのシューベルトが作曲した作品です。本来のタイトルは「エレンの歌 第3番」で、ウォルター・スコットの物語『湖上の美人』をもとにして作られた歌曲でした。

しかし、現在ではこの曲は「アヴェ・マリア」という名で広く知られるようになっています。

美しいメロディーにはどこか神聖な雰囲気があり、教会や結婚式などの特別な場面で演奏されることが多い曲です。

シューベルトの「アヴェ・マリア」は心を静め、安らぎを与えてくれます。

3. カッチーニの「アヴェ・マリア」
この「アヴェ・マリア」は、かつてバロック時代にジュリオ・カッチーニが作曲したとされていましたが、実はこの曲は出典が不明。

すると、1970年代に旧ソ連の作曲家ウラディーミル・ヴァヴィロフが作った曲だという説が近年、定着しているようです。

この曲は哀愁を感じさせる短調の旋律と切なくも美しいメロディーが印象的。その魅力は時代を超え数多く演奏され続けています。

カッチーニの「アヴェ・マリア」は美しい旋律が聴く人の心に深く響きます。

私はカッチーニの「アヴェ・マリア」が好きです。どこか切なく、短調の響きが余韻となって耳に残ります。

心に響く3つの名曲

これら3つの「アヴェ・マリア」はそれぞれ時代背景や作曲スタイルが異なりますが、どれも清らかで心に静かに響きます。

クリスマスの特別な季節には3曲を聴き比べながら、それぞれの違いと魅力をじっくり楽しんでみてください。

あなたはどの「アヴェ・マリア」が1番お気に入りですか?



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