控え目カラーのペディキュア いくつになっても心ときめく
今年も例年にない猛暑日が続き、異常な暑さとなっています。
そんな中、先日、母と一緒に外出しました。
母の夏のサンダルが傷んでいたので、新しいサンダルを探しに行くことに。
やはりサンダルのデザインや履き心地は、本人が実際に履いてみないと分かりません。
何足かサイズを変えたりして実際に履かせてもらい、気に入ったサンダルが見つかりました。
慣らしついでに母は購入したサンダルを履いて家に帰えることに。
履いてきた靴は店員さんがていねいに包んでくれました。
私は普段、ネイルはしませんが、夏になると素足にサンダルを履くために足にペディキュアをします。
「サンダルを履くから、足の爪にマニキュア塗ってあげるね」と母に言うと、
母は「お手入れが大変だからいい」と
乗り気ではない様子。
確かに、はっきりした色のマニキュアは日にちが経つとはげてくるし、汚く見える。
突然、
母は父の話を始めました。
実は……
父は母とお見合いをした時、
母の手の爪を確認し、
「マニキュアをしていなかったから、付き合ってみようと思った」
と後になって母に話したそうです。
三年前に亡くなった父はかなりの頑固者でしたが、二人の子供である私と妹をよくかわいがり、家族を大切にする人でした。
ただ……
洋服や身なりに関してはとても厳しい人。
「黒い服は着るな!水商売の女性に見られるから!」
「アロハシャツは着るな!あれは不良が着るものだ!」
「爪は赤くするな!品がない!」
などなど。
私と妹は学生の頃、よく言われたものです。
今の時代、何言ってんだか???
と思いますよね?
まさに!ザ・昭和のお父さんでした。
そんなことが母の心に引っかかっていたのか、
ペディキュアをすることに母は乗り気ではなかったようです。
そこでブラウンゴールドのあまり目立たない色のネイルカラーを選んでみる。
これなら少しはげても目立たないし、控えめな色なら天国の父もきっと許してくれるはず。
母は昔からおしゃれにはほとんど気を使わない人でした。
家事や子育て、そして仕事に追われていたため、おしゃれに時間やお金をかける余裕もなかったのでしょう。
なりふり構わず、日々奮闘していました。
初めて足にペディキュアをする。
母のシワシワで血管が浮き出た足の甲を横目に小さな爪にマニュキュアを塗る。
塗り終わると母は足の爪を見て
「キラキラしてるね!なんか……かわいい!」
ちょっとうれしそう。
そして、まんざらでもない様子。
もっと早くやってあげればよかった。
まだまだ暑い夏、母にはサンダルをたくさん履いてほしいし、控えめな色のペディキュアをちょっとでも楽しんでほしい。
控えめな色のペディキュアだけど……
自己満足かもしれないけれど……
それでも、ちょっとした変化に心がときめく。
小さなことだけど幸せを感じる。
それって、とても大切なことかもしれませんね。