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かれーらいす

チキンカツカレーを作ろうと思う
レトルトではない、きちんと具材をカットして
鍋で煮込んで作るカレーライスだ
カレーライスを作っている時は
その時間だけは家族のことを想えるから
カレーの具材は
じゃがいもとにんじんと玉ねぎだけのシンプルなもの
ルーを作るのはハードルが高いので市販のものを使う
揚げ物は油が怖いのでチキンカツもスーパーの総菜だ
この際、味やこだわりは二の次で
ボクは家族のことを想いながらカレーを作る時間が
好きなんだ

煮込んだ玉ねぎが崩れて形が無くなる
ルーのうま味が増すポイントだ
にんじんの芯が柔らかくなって
じゃがいもの角がほろほろになる
ちょうど食べやすい感じになってくる
鍋の火を弱火にして
ぐるりとおたまをかきまわす
あとはコトコト煮てとろみが出ればよし

あと何回、家族のためにカレーを作れるのかわからない
時間はあっという間に流れていって
些細に思える事も特別な事になっていくから
いつかその時はくる
ボクたちは「いつか、いつか」と言いながら
その覚悟ができていないことが多すぎる
いつか両親は死んでしまう
いつか子供は独立する
いつか自分は死んでしまう
わかってる、わかっちゃいるけど
予定未定の未来のことは
目を逸らしたり、なあなあにして
知らないフリをするんだ
怖いから
でも「いつか」は直視しなければならないことで
「いつか」はある日突然やってくる

まだボクには覚悟ができていないことが多い
強がっていることも
気にしていないこともたくさんある
いざその時になれば嫌だと
泣いてすがるのかもしれない
本当にそうなってしまうなら
その時に死ぬほど泣けばいい
今からそんな思いをする必要はない
覚悟って言葉はカッコいいけど
カクゴが出来ないことは悪いことじゃない

ルーはスパイスを感じる中辛を使う
カレーのスパイスで痺れちゃって
少しのあいだ「いつか」を忘れることができる
辛いねなんて言いながら
水を飲んだり
ご飯をほおばるんだ
スプーンが皿に当たってカチャカチャ音が鳴る
ずっとこうしてハフハフ辛い辛い言いながら
スプーンと皿の当たる音を聞いていたい

いつもカレーを作るとお米よりルーが余る
余ったルーは翌日に持ち越しだ
明日も一緒にカレーを食べようということ

お父さんのカレーはちょっと辛すぎると
息子に言われるが
めげずにボクはカレーを作るんだ
今夜はチキンカツカレーを作ろうと思う


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