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1,000m程の観光地でも弥三郎岳の山頂は絶景
羅漢寺山弥三郎岳は日本一の渓谷美で知られる昇仙峡の上にある山梨百名山の一座です。ロープウェイを使えば山頂まで歩いて20分で行けるお手軽な山で標高も1,058mの低山ですが、富士山から南アルプスの山々、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、金峰山等の周囲の日本百名山が一望できる素晴らしい山です。
今回は甲府市がYAMAPで行っている手ぬぐいゲットイベントに便乗して、グリーンライン昇仙峡バス停から登り、ゆうのう敷島へと下りるルートを歩いてきましたのでご紹介します。
時期
9月
アクセス
東京から特急かいじで甲府まで1時間50分
行き
甲府駅から山梨交通バスでグリーンライン昇仙峡まで約40分
帰り
ゆうのう敷島から敷島営業所バス停までは徒歩で約40分
敷島営業所バス停から山梨バスで甲府駅へ約30分
紹介ルート
https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1Cu_gu3EQfDOahw1c_zD9bM7yn7s9IxU&usp=sharing
総距離:13.6km 登り:844m 下り:1,002m
グリーンライン昇仙峡バス停~仙娥滝~昇仙峡ロープウェイパノラマ台駅~羅漢寺山弥三郎岳~白砂山~太刀の抜石~ゆうのう敷島
グリーンライン昇仙峡バス停~仙娥滝
グリーンライン昇仙峡バス停にはトイレとお土産屋さんがあります。駐車場にもなっていてここで車を停めて散策に行く方も多い様です。
出発したらバス通りから左下に下っていきます。まだ舗装路ですが、この時点でもう前方には岩のトンネルなども見えて昇仙峡の奇岩や渓谷美にわくわくしてきます。
暫くは観光歩道です。この辺は水晶等の天然石が多く採掘できるようで、遊歩道の脇には天然石屋さんがお店を開いています。また、七福神推しの場所らしく、随所で七福神のオブジェなどを観ることができます。
昇仙峡の入り口には、昇仙峡観光を広めるきっかけとなる御岳新道を開いた長田円右衛門さんのレリーフが飾られています。昇仙峡観光は江戸時代から続いているらしくとても歴史を感じられます。遊歩道はよく整備されていて、すぐ側を流れる川の水はとても綺麗。両側にそびえる岩壁の色合いと木々のアクセントが日常見ることのない自然美を演出しています。
石門の上に乗っている岩は筑波山にある弁慶七戻の岩よりもかなり大きく、弁慶がここに来ていたら49戻りくらいしたのではないか?と思ってしまいます。
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橋を渡り、岩壁をくりぬいた隧道を抜けると仙娥滝が現れます。落差は30mほどの様ですが、水量が多く水が暴れながら落ちる滝からは水煙が常に立ち上り迫力があります。因みにこの「仙娥」という名前は中国神話の月に行った女性の名前だそうです。日本のかぐや姫と月で会っているかもしれません。
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仙娥滝~昇仙峡ロープウェイパノラマ台駅
仙娥滝から少し登ると観光地化されたショップが多く立ち並んでいます。水晶や翡翠、鈴、七福神などを使った祈願アクティビティがこれでもかという程あり、ちょっと面白いくらいです。
銭洗いの叶える蛙(蛙という感じの中に「叶」という文字が隠れている)では洗う金額が50円と明確に書かれているのも不思議だし、布袋尊三願掛では3色のお札に願いを書いて布袋様に貼り付けてあってカラフルなドレスの様です。
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軽食では「食べる水晶玉」がありました。まだ観光歩道を1時間程しか歩いていないにもかかわらず誘惑に負けて頼んでしまいました。きな粉と黒蜜をかけて食べる水まんじゅうです。大変美味しい水晶玉でした。
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この先にも「ワイン」やら「ほうとう」やら「鶏もつ煮」やら美味しい山梨名物誘惑が沢山あり、「もう観光だけで買えるか?」ましたが、という想いが頭をよぎりますが、ここは我慢して先に進みます。
昇仙峡ロープウェイの仙娥滝駅(下の駅)の前を通り過ぎたらワイン王国との間の路地に入っていきます。その先に麦坂道(ばくさかみち)という道があるので登っていきます。この先の道が”爆坂”じゃないことを祈ります。
山道の入り口にはMTBコース終点の看板がありました。どうやら単なる登山道ではなく、MTBコースとしても開放している様です。ロープウェイで自転車ごと登って、ダウンヒルを楽しむのでしょう。あまりハイスピードで下りてこられると怖いなあと思いましたが、この日は幸いMTBとすれ違うことはありませんでした。
稜線に出るとすぐに鳥居があり、そこに八雲神社があります。神様が住まう石造りの祠はかなりの年代物で、古くから信仰があったことが分かります。どうやら縁結び・夫婦和合のご利益があるようですので、ご夫婦・恋人同士で訪れてみてはいかがでしょう。
その先には和合権現があります。こちらも夫婦和合や子宝のご利益の様ですが、金運のご利益もあるようなのでソロの私もお参りしていきます。
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お堂の中には樹齢350年を経た楢の木があります。お参りする女性がやたらとなでなでしていてつやつやになっていますが、解説を読むと、この楢の木は男性の象徴と女性の象徴両方を持った珍しい木であることから夫婦和合のご利益になっている様です。つやつや担っている木を見ると、確かに上部は男性のアレの形で、下部は女性のアレの形をしています。あまりなでなでしてると「最近ご無沙汰ですか?」と突っ込みを入れたくなりますが、かえってこっちが変態扱いされるので黙っておきます。
ちなみに正式なお参り手順として
①お賽銭
②太鼓をたたく
③願い事をしながら楢の木をなでなで
④外に出て富士山を遥拝
となっている様なので、なでなでするのが正しい作法の様です。
「ん?富士山?」ということでお堂から外に出てみると、正面に富士山がありました。この日はほとんど雲に覆われていましたが、なかなか良い富士山の遥拝所になっている様です。
和合権現のすぐそばにある大きな建物が昇仙峡ロープウェイのパノラマ台駅(上の駅)になります。目の前には富士山を遥拝するための展望デッキもあり、ロープウェイで登ってきた観光客が沢山富士を眺めていました。
昇仙峡ロープウェイパノラマ台駅~羅漢寺山弥三郎岳
さてここから弥三郎岳まではわずか20分です。観光客の団体が沢山歩いているので登山とは別の意味で歩くのが大変ですが、山頂まではそれほど起伏もなくなだらかで歩き易いです。
所々開けている場所があって写真を撮るために足が止まりますが、山頂直下の岩の上がベストビュースポットなので手前で無理に写真を撮らず、どんどん先に進んだ方が良いでしょう。
山頂のすぐ下から階段と石のステップが始まります。距離は短いけど歩ける幅が細いので上り下りで譲り合って進みましょう。
弥三郎権現の祠から登った岩の上に立てば、330度くらいの素晴らしい展望が開けています。富士山、白根三山、鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、金峰山などの日本百名山が見えます。そして、この日本百名山の著者である深田久弥氏先生終焉の地の茅ヶ岳も間近に眺めることができます。標高1,000m程の山でこれほどの景色が楽しめる場所も珍しいでしょう。お勧めの展望スポットです。
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一応、その先に弥三郎岳の山頂がありますが、周囲が木に囲まれているので景色はあまり楽しめません。三角点と山頂プレートがあるので、一応登っておきましょう。
羅漢寺山弥三郎岳~白砂山
景色を十分に楽しんだらパノラマ台駅へ戻ります。お腹が空いたので駅の中に入って食べ物を物色すると岩魚の塩焼きがありました。食べてみたら良い焼き加減で、骨や尻尾、頭まで全部食べられました。塩梅も良く、汗をかいた体に力が出ます。
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パノラマ台駅を後にしたら「うぐいす谷」が2分程なのでちょっと立ち寄ります。弥三郎岳程は展望が開けていませんが正面に広がる谷の向こうに鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳が見えてとても良い場所でした。
では登山道に戻って白砂山方面に下っていきます。道はなだらかで歩き易いです。
しばらく下りていくと鞍かけ岩の看板がありますが、どれがその岩かはよくわかりませんでした。この看板のちょっと先に白砂山への分岐がありますので、左手に登っていきます。それほど急なところはありません。最初土の道ですが、稜線に近づくと山名の通り白砂が拡がってきます。稜線上を真っすぐ歩くことはできない様で、所々巻きながら進んでいきます。踏み跡を探しながら歩いて行きましょう。
稜線の行き止まりの場所に白砂山の山頂プレートがありました。ただ、お手製プレートのようなので正式な山頂碑はもともと無い様です。正面には先ほど登った弥三郎岳を望むことができます。
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白砂山~太刀の抜石
白砂山からは通り抜けできないため再び分岐まで戻ります。
分岐から先に進むと道はなだらかで歩き易いものの若干荒れた印象を受ける道が続きます。どうも弥三郎岳に登った人が白砂山までは足を延ばすようですが、ここから先にはそれほど人が入らないようです。
暫く歩いて行くと、右手に分岐する道があります。「白山展望台」と書かれているので展望台があるようです。こちらもちょっと立ち寄ってみましょう。
短い稜線を歩いた先でぱっと展望が開けていて、白砂の斜面が拡がっています。こちらも鳳凰三山や甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳が見えてとても良い場所でした。人がほとんど通らないのでゆっくりするのに良い場所です。
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再び登山道に戻ってさらに先へと進みます。その先にある獅子平への分岐は曲がらずに長潭道(ながとろみち)の方へ。ふる里自然観察路の案内板に沿って太刀の抜石を見に行きます。
太刀の抜き石は刃の様な尖った岩でした。お手製プレートがかかっていて、石の上に登ることもできます。石の上からの景色はなかなか良かったです。
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太刀の抜石~ゆうのう敷島
太刀の抜石も行き止まりの様なのでまたまた登山道まで戻ります。
登山道を下っていくと岩壁に穴が開いた虫喰い岩がありました。登山道に石がコロコロ落ちているので、結構落石もありそうです。
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9月も中旬だというのに木々の上からは蝉の声が聞こえ、まだ夏の様です。この登山道は「御岳道」と呼ばれる古道らしく、歌川広重が御岳道を描いた絵に描かれているという岩等もあり、なかなか見どころの多い道になっていました。
ネットでちょっと調べただけでは看板が立っていた場所の岩が描かれた絵を見つけることはできませんでした。機会が在ったらどんな絵なのか見てみたいです。
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さらに進んでいくとT字路にでます。左に行くと昇仙峡に戻っていきますが、今回は右の吉沢方面に下っていきます。すぐに民家が見え、かなり荒れた舗装路に変わりました。ここからはダラダラとした坂をひたすら下っていきます。
最後に鹿柵ゲートがあり、これを通り抜ければ綺麗な舗装路に出ます。登山道としてはここが終点の様です。
ここからは舗装路歩きで「ゆうのう敷島」まで歩きます。舗装路と言っても結構距離があるし時々登るので大変です。また、ゆうのう敷島までコンビニも自動販売機もありませんので水分確保には十分注意しましょう。進行方向には鳳凰三山が見え、肉眼で地蔵岳のオベリスクがそそり立っているのも見ることができました。
なんとかゆうのう敷島に到着したら、水切れしていたので早速梅シロップのかき氷を頂きます。かき氷の冷たさと梅の酸っぱさに生き返ります。
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ここ、ゆうのう敷島は道の駅のような地場産野菜などを売っている場所で、お得な野菜があれば買っていきたいと訪れたのですが、既に売れてしまったのか品揃えはイマイチでした。代わりに甲斐市の焼酎「大武」を買って帰ります。もう少し涼しくなれば地場ワインも良かったなあと思いました。
下山飯と温泉
ゆうのう敷島近辺にはバス停が無いので、更に40分程舗装路を歩いて行く必要があります。
敷島営業所バス停近くの七福神の名湯「神の湯温泉」があり、ゆうのう敷島で甲府市イベントの割引パンフ(通常1,000円のところ半額の500円で入れる)をもらえたので寄っていきます。
泉質は旧食塩泉で七福神にちなんで七つの湯船があり広々と入れる温泉でした。七つの湯船は湯温を変えてあって短く浸かったり、ゆっくり浸かったりと楽しめる工夫がしてあります。ただ、どれが何番の湯船なのか分かりづらいのでどういう順番で入ろうか悩みました。
ちなみにこの温泉、脱衣場が2つあって片方が宿泊者用。もう片方が日帰り入浴者用(コインロッカーになってる)になっている様なので出る場所を間違えない様注意しましょう。
温泉を出たらバスで甲府駅に戻ります。甲府駅前で下山飯と思いましたが有名どころの「小作」や「奥藤本店」は既に待機名簿に10組以上も名前が書かれていて時間がかかりそうでした。離れた場所まで足を延ばすのも面倒だったので駅ビルに入ってレストランフロアで探します。
悩んだ末「麺’s富士山」という、うどん屋を見つけて入ります。うどん食べ放題だったり、ラーメンもあったりしてなかなかチャレンジングな麺処の様でした。私は山梨名物3品のセットを注文。「吉田うどん」と「鶏もつ煮」と「グラスワイン」のセットで観光客ならずともバランスの取れた良いセレクトのセットでした。追加で「青い富士山ビール」も注文。青いビールに富士形のグラスでなかなか映えるビールです。味は普通に美味しいビールでした。面白いメニューが多い様なので、また来てみたいお店でした。
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