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あれ、カラスをいつから
カラスがカーカー鳴くと、窓の外を見てキッと睨みつけるようになったのはいつからなんだろう。
最近のアメリカのニュースをみて思い出す。
欧米を長期で旅行していたとき、女が一人で歩いているのがよほどなめられるのもあったのか、変に絡まれることがあった。
例えば、劇場で夜遅く舞台を観た帰り、前からぞろぞろと10人くらいの男の集団が歩いてくる。
そして、私に向かって「CHINA!」と怒鳴りつけてくる。
そういうことは合計で3回くらいあった。
いつも、私が大声で反論するから、相手は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして一気に態度を変えるんだけど。
まさか反撃されると思ってないんだろう。人間、予想外には弱いのだ。
高校生の集団にずっと「Teriyaki!!!」と言われ続けたこともあった。
別に、CHINAもTeriyakiも差別用語だなんて思わないけど、あんな意地悪な顔や声をして言われると、きっとそういうことなんだろう。
でも、私が一番驚いたのは、ロサンゼルスの市庁舎展望台にいったとき。
社会科見学かなにかで6歳位の子どもたちが先生に連れられ、たくさん来ていた。
その中の、一人の男の子と目があった。
そうすると彼は、ニヤッと口角をあげ、変にキラッと高揚した目に小馬鹿ににする気持ちを含んで、
そう、私が今まで見てきたあの意地悪な顔をして、
「CHINA」と
意地悪な声で言ってきた。
こういうのって、生まれたときから持ってる感覚で、大人になるにつれて駄目だと矯正されていくものなのか。
それとも、彼は誰かの背中をみてきて覚えたのか。
今までさんざん反論してきた私は、反論できなかった。
その根深さに絶望したからだ。
もちろん、こんな目にあう回数よりも、親切な人と会う回数のほうががよほど多かったけど!
カラスがカーカーと鳴くと、無条件に敵意を抱くようになったのはいつからだろう。
落ち着いてみると、カラスってかなりイケメンだよね。カーカー。