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2023年1月法話会 法話 浄土和讃「清浄光明ならびなし」

1月法話会「清浄光明ならびなし」

【和讃5首目】
清浄光明ならびなし 遇斯光のゆゑなれば
一切の業繋ものぞこりぬ 畢竟依を帰命せよ

テーマ:無対光…この世に絶対はないからこそ、絶対のものがあるということが尊い。

※今回はならびなしについて話す

こんにちは。本日も皆様ともども仏様のお慈悲をお味わいしたく存じます。今回は正信偈和讃の5首目「清浄光明ならびなし」についてお話したいと思います。まずこちらの和讃について解釈をしていきたいと思います。

〇現代語訳
清浄光明ならびなし
一切の煩悩をはなれた、清らかなさとりより放たれる弥陀如来の光明が、諸仏の光明にすぐれていることは他に比べるものがない。

遇斯光のゆゑなれば
この光明にお遇いするゆえ、

一切の業繋ものぞこりぬ
迷いの世界に繋ぎとめる煩悩悪業は、すべてみな除かれてしまう。

畢竟依を帰命せよ
究極のよりどころである阿弥陀如来に帰命してたてまつれ。

と解釈できます。

本日はこの歌詞の中でも「ならびなし」について味わっていきたいと思います。

〇ならびなし
ならびなしとは、漢字の絶対の対という字を用いて対びなしと読みます。
ならびなしの意味は、「ならぶものがない」、「他にくらべるものがない」、「とびぬけている」、「最高である」などの意味ですが、これを分けて2つの意味があるといわれています。
〇2つの意味
1つめは無比対(むひたい)です。これはくらべるものがない、くらべるものにならない、諸仏の光明も阿弥陀様のおひかりにははるかに及ばないという意味です。「一切の業繫ものぞこりぬ」にはこの意味が含まれています。
2つ目はに無敵対(むてきたい)です。これはかなうものがない、敵対できるものがないという意味です。「一切の有碍にさわりなし」にはこの意味が含まれています。


つまり煩悩のけがれのない阿弥陀仏の光明は、他に比べるべきものがないほど清浄であるため、無対光と呼ばれています。

〇ならびなしという言葉の味わい
ならびなしという言葉から、私は「絶対」という言葉を連想しました。絶対という言葉で私が印象に残っているのはプロ野球のヤクルトスワローズが今年セリーグの2連覇を果たしたのですがその立役者となった高津臣吾監督の言葉が話題となっているのですが、その中でもっとも有名な言葉が「絶対大丈夫」という言葉です。

これは高津監督が優勝間近の試合のミーティング内で「君たちが自分のことをしっかり理解して、君たちがチームメイトを理解して、絶対に崩れない。自分のことを理解して、周りを信じて、一枚岩で行ったら崩れることはない。絶対大丈夫」と話したことから「絶対大丈夫」というヤクルトスワローズのグッズとして販売されるまでに人気になりました。

自分を理解し他人を理解してその信頼が堅固であれば大丈夫…この言葉を聞いて仏様を思い出しました。自分の事を一番よくわかっているのは果たして自分なのでしょうか。例えば自分では信じられないような失敗をしたり、予期していなかったことが起こったりすることが多々あると思います。自分自身を見てくれている人、理解してくれる究極の存在は、おさとりを開かれた仏様です。私の考えを超えたところに私を理解してくれる仏様という存在がいらっしゃる。「絶対大丈夫」な世界は私の側にあるのではなくて、仏様の側にあるのだと味わうことが出来ると思います。

ところで、高津監督の「絶対大丈夫」という言葉を胸にヤクルトスワローズはセリーグ優勝を果たしますが、その後日本一決定戦の時にセリーグ優勝で最も貢献していたといえる9回の抑えのスコット・マクガフ投手が先に4勝したら日本一が決まる試合で2度逆転を許し、2敗も喫してしまいました。高津監督は記者会見でマクガフ投手に対してのコメントで、「たとえ打たれたとしても今までの信頼が揺らぐことはない」と話し、監督の思いが伝わったのか、それ以降マクガフ投手は見違えるほど投球がよくなり、一昨年の日本一に貢献しました。

考えると、たとえ調子がいい時でも悪い時でも、試合に勝っても負けても信頼してくれる存在がマクガフ投手を支えたのではないかと思っています。わたしたちも阿弥陀如来様という究極のよりどころに安心して身を任せることができます。この私がどんな時でも仏様は見て下さり、煩悩を滅し、本願を信ぜしめて仏とならしめるぞという願いがこの私にかけられており、せめてものご恩報謝の思いでお念仏させて頂きたいと思います。

仏法という間違いのない教えにこの私が照らされながら、私の考えるおぼつかない、私が絶対と考えるものさしをはるかに超えた「絶対大丈夫」な仏様という存在がいらっしゃること、そのものが尊いことであると味わわせていただきました。

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