田野浩志の『そうだ スーツ、着よう』Vol.1
(こちらは昨年に自社サイトにて公開した記事に、加筆・修正を加えて新たnoteに投稿しています)
昨年から今年にかけてB.R.CHANNELの登場回数が激増し、全国的且つ局地的に顔が売れてきた"くり坊"ことguji代表田野。
実は最近店頭に立っていても、お客様から「B.R.CHANNEL見てます!!」とお声をかけて頂くことが増えているとか・・・。ちょっと気恥しそうに、それでいてまんざらでもなさそうにしているわけなんですが、オンラインサイトを運営する私西出としましては、「この高まった知名度を活かさないのはもったいない」との思いが少し、気を良くした田野の「俺、出よか?」という自薦もあり・・・で、企画をスタートする事になりました。
田野は大手セレクトショップに勤めていた時からずっとドレスクロージングを生業としていますので、今回の企画でもビジネススタイルやドレススタイルをベースに、ちょっと色っぽく、艶っぽく、イタリアらしいスタイルを提案出来ればと思っています。
そんなこんなの第一回、いつもと同じような絵面ではありますが(汗)、RING JACKETの敏腕営業マンであり、インスタグラムで1.6万人のフォロワーを持つ"Maidoookini"こと笹本氏を招き、salotto di guji発足以来ずっと取り扱っている別注スーツの魅力について語って頂きました。
笹本氏:それにしても田野ちゃんスーツ似合うねぇ。
田野:ありがとう。そうやねん、特にこの別注スーツがピッタリやねん。これ、自分たちのスーツなんやけど、物凄く良くできてると思う。
笹本氏:確かに、gujiさんのスタイルに凄くあっていると思うわ。ウチ(RING JACKET)のスタイルはもう少しクラシックというか、トラッド寄りになっているけど、トレンドを少しにらみつつ、普遍的でスマートなスタイルを提案しているgujiさんらしいわ。
田野:RINGさんのインラインモデルをベースに、僕のこだわっているところを少しずつモディファイして型紙を作ってもらっているから、凄く心地いいのよね。決して僕に合わせているわけではないけど、この肩周りの見え方、グッとくる胸の雰囲気、そして襟ののぼり具合、 どれをとっても最高の出来やと思う。
笹本氏:肩付けはウチの仕立ての特徴が最も出ている部分の一つで、インポートブランドとは全く違う・・・ことはないけど、日本人の体形に合わせて、どんな姿勢でも疲れずに動きやすいように工夫しているから、海外物に慣れた方であればある程ビックリされるねん。ここは凄く自信を持っているポイントかな。
田野:僕も毎シーズン購入して着てるけど、本当に着心地が良い。
笹本氏:日本人はちょっと猫背気味の人も多いし、肩の位置が欧米の人に比べて前に出ていることが多いから、背中の生地量をインポートものに比べて多く取ってるのよね。で、それを前身頃と合わせるときに生地をいせ込んでいって、立体的に仕立ててるんよ。
ここがインポートとの絶対的な違いで、そもそも後ろ肩が多い欧米人向けのジャケットは背中の生地量が少ないから、日本人が着て手を動かすと、どうしても背中の脇辺りが突っ張ることが多くて、それで着心地が固く、悪く感じるんやけど、ウチのはそれがない。
田野:確かに、そこがRINGさんの強みよね。肩の乗り方が全然違う。
笹本氏:で、運動量を確保するためにアームも少しゆとりを持たせてるんやけど、ここがgujiさんのこだわりポイントやね。
田野:そう、ここは戦った(汗)。はじめ御社にお願いしたら、パタンナーの方から猛反対?されたよね。
笹本氏:まぁウチの特徴でもあるわけやし・・・、で少しずつ細くしていって、ギリギリのラインまで削ったんよね。
田野:決してモードブランドみたいな細さを求めていたわけじゃないんやけど、クラシックなスタイルとモダンさを上手い具合に融合させたかったから、ちょっと細く見せてスマートさを出したかった。いい感じのバランスで仕上がっていると思う。
田野:手を動かしても、前にグッと持ってきても本当にストレスがない。襟の吸い付きも良いし、一枚襟ていうのがいいよね。
笹本氏:本来平面的な生地をアイロンワークで形を立体的に整えていく、いわゆる"コロシ"というテクニックなんやけど、インポートでも高級といわれるものしかやっていない仕様で、これを標準でやってるのはウチとしてもこだわっているポイントのひとつ。生地を二枚つなげるほうか絶対的に簡単に立体を作れるからね。
田野:確かに美しい。襟ののぼりを見たらRING JACKETってわかるもんね。で、仕立てもさることながら、生地のクオリティも素晴らしいよね。
笹本氏:そう、LoroPianaの4シーズンズ。これ、ずっとgujiさんで定番でオーダーしてもらってるけど、最初はブラックだけやったんよね。
田野:あまりにも人気があって、且つ着心地も良いから、今ではネイビー、グレーも入れて三色展開に・・・(汗)。これがあるから他のブランドの無地はオーダーしなくなったもんね。
笹本氏:世界的にも大人気の生地で、たぶんLoroでも一番売れてる生地ちゃうかな。とにかく素晴らしい。
田野:綾織りの組成やから生地にしなりがあって、動かすとナチュラルについてくる感じやねんな。そもそも可動域が広いジャケットやのに、更に動きやすくなってる感じ。ストレッチないのに、ほんとに凄い。
笹本氏:ウチのスタッフなんかはウチのジャケット着てデスクワークとか、ずっとパソコンをしていても肩が凝りにくいって言ってるわ。脱がなくても全然普通に働けるって。
田野:それってホントに凄いことよね。ウエストもグッと絞った色気のあるシルエットやのに、窮屈感もないし。
笹本氏:実は身頃も少しいせ込み入れてるんよね。背中の丸みを無理なく立体的に、脇のラインをスッキリ整えるようにしてるねん。肩と合わせて結構な分量をいせ込んでるから、たまに首の後ろにツキジワが出ることがあるけどね。
田野:店頭で試着されたお客様でも、ちらほらいらっしゃるわ。それって、仕立てとしてどうなん?
笹本氏:どうしても肩と袖に多めの生地をいせ込んでるから、背中の中心部の生地分量が多くなるんよね。
でもそれは肩の可動域をしっかり確保するほうを優先して作っているから、ある意味仕方がないというか、どちらを取るかいうこと。だから、ツキが出るからといって仕立てか悪いわけではなく、ウチの仕立てはむしろ凄いから出る人もいるって感じかな?
田野:いかり肩の人がちょっと出やすいかなぁ。僕は全然平気。人それぞれやね。
笹本氏:そうそう、実は僕もちょっといかり肩ぎでよくツキジワが出るから、だいたいはツキ取りしてるよ。
田野:この辺は背中やし、なかなか鏡では見えにくい所やから、ちょっといかり肩かな?と思われる方は実際店舗で試着して確かめられた方がいいかもね。スタッフが対応するし、適切にツキ取りするから、シルエットが崩れずに見た目が良くなるから。
田野:組下のパンツはどう?
笹本氏:パンツも勿論立体的に作ってるよ。このポケット脇の皴わかる?
田野:あるね。
笹本氏:これは無理やり平面的に畳んでるから出るもので、この状態でピシッと綺麗に畳めているパンツは立体感が無いのよ。だから、実際に穿いて腰が入るとこの皴は綺麗に消えます。
笹本氏:こんな感じ。
笹本氏:人間のカラダって全てが曲線になってるから、包み込むように作らないと突っ張り感を感じてしまうんよね。もちろんここもいせ込みやアイロンワークで立体的に仕上げてます。
で、他にも特徴があって、ウチの組下は補正の為の余剰を他のブランドの倍くらいとってます。
笹本氏:これはウエストとヒップに所なんやけど、普通はこの半分くらいかな。大体4cm出せたら御の字くらいやけど、ウチはもっと出せる。スーツを選ぶときに上は合うけど下はちょっと・・・、で、下に合わせると上が大きいってことほんとによくあるんやけど、ウチはかなりの場合で補正で対応可能。
しかも、余剰がギリギリにならないから耐久性もしっかり確保できるねん。実は渡りや膝幅、裾幅もかなり出せるようにしてるから、トレンドが変わったり体形が変わってもかなりの場合で補正が可能。それも売りの一つです。
田野:インポートのスーツで上下合わないから気に入っても買えないってケース良くあるけど、RINGさんのはそれがないもんね。ほんとによく出来てる。実は東京店が出来てからかなり売れ行きが上がっていて、一度着て頂くと良さをわかって頂ける感じ。
なんとあの干場さんも二色買いしてくれてるからね。B.R.CHANNELの撮影で着てもらった時、凄く気に入って頂けてほんとに購入してくださったんやけど、良いものを知る人にその良さが伝わるって本当にうれしかった。こだわって作っている甲斐があったと思ったよ。
笹本氏:あざす!!
という事で今回の第一回目はRING JACKET×gujiの別注スーツについて語って頂きました。
次回は引き続き笹本氏に登場頂いて、お勧めのVゾーンコーディネートや色使いなんかをご紹介致しますので、ご期待くださいね。