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サプライズだらけの最近に
photo by Konevi (pixabay)
2月は変化・変遷が多い月だ。
仕事面では4月の年度始まりに合わせて辞令が出たり、今年度の振り返りがあったりと、何かと区切りをつけなければならないシチュエーションに相対する機会が多い。
私の会社もご多分に漏れず、毎年目が回るほどの大変化が起こる。その変化を受容できず、辞めていく人が後を絶たないことを考慮すると、インパクトの大きさが推し量れる。
今年も私は大きな波に足を取られ、バランスを崩している。落ち着きを取り戻すまでの2,3か月は無理が効かない。私は生来の臆病者なので、変化に弱い。あれこれダイナミックに生活パターンが変わるとそれだけでストレスで身体を壊してしまう。
会社からの望まないサプライズ、それが私にとって「2月」に対して持っているイメージの大半だ。
だが今年はそれだけではなさそうだ。
去年、私は体質改善に成功した(過去記事)10kg以上痩せたこと、肉を減らしてサラダを多く摂取するようにしたことで体臭が激減したという。
体臭というものは厄介で、自分ではわからない。身近な人で、かつ忌憚なき意見を言ってくれるパートナーが必要だ。
最近、妻が言うには「体臭が『イケるレベル』まで向上したよ」らしい。体質改善の効果が、まさかこんなところにまで波及しているなどと、露ほどにも思わなかったため驚きを隠せないでいた。
もっとしっかり検査していただこうと、30分ほど外を走って『熟成』させたあとに、わきの下を匂っていただいた。
妻「ほんと最近は『おーいけるいけるー』ってレベルには改善しt ほひんっ(白目」
私は結構傷ついた。だが本当に傷ついたのは、妻の鼻粘膜のほうだろう。かわいちょ、と軽く労う。そういえば、何が『イケる』のか皆目分からなかった。結局訊けないでいる。
他にもサプライズはあった。最近市井を賑わせている新型肺炎についてのトピックだ。ついに私が所属する会社からも注意令が出た。コアタイムなしの時差出勤を全社員に向けて解禁してくれた。
私は「いよっしゃ!好きな時間に行ったるわ!」と意気揚々としていたが、周囲の反応はやけに冷めたものだった。
結局のところ1日8時間は勤務しなければならないこと。時差出勤したところで、常識的な時間帯はいずれにせよ満員電車であることなどを懸念し、冷やかな態度を取っているらしい。
実際、時差出勤を申し出る社員は思いのほか少なかったようだ。
私は思った。皆、本気出せよ。お前らはもっと自由に発想を広げていいんだ。周りから「え、お前正気かよ」と囁かれたっていいじゃないか。もっともっと、クリエイティブな判断を下していこう。カッコつけて逆にカッコつかない、それがカッコいいってところを見せてやろうじゃないか。
私「では私は始発出社で6:00出社、15:00退社します!」
もう壮観だった。皆が一斉に二度見したんじゃないか。この世界に効果音職人がいたら「バッ、バッ」という小気味良いパーカッシブサウンドが聞けたんじゃなかろうか。
私「最近、頻尿でいつも5時前に起きてるので、二度寝しなければ余裕です!」
と、時間厳守できるエビデンスもきちんと添えた。そういえば新卒研修のころ、「所感ではなく、ファクトを示した根拠ある発言を心掛けよ」って教わったっけ。
上司も「コアタイムなし」と言った手前、取り下げるようなことはしなかった。そして夜が明け、今日は5時に家をでたんだ。街頭に揺れる道と、霜になり切れない水分の匂い。いつもと勝手の違う街が広がっていた。
日の出前のキンキンに冷えた道路を一人歩く。妻におはようのキスをしてこなかったことを心の底から悔やんだ。心だけでもホットにしたかった。え?ホットになるのは下半身だって?すまない、君とは友達になれそうにない。
ホームに着くとかなりの人が並んでいた。いつもと変わらないくらいの人数で。私は直感した。6:00出社、15:00退社という常識外れでクリエイティビティの塊のような決断も、東京の前では何の意味もなさないのだ、と。
電車が到着する。案の定いつも通りの見慣れた光景がそこにあるだけだった。
肺炎よりも、時差出勤を提供してくれたことよりも、何よりサプライズだったのは東京の満員電車だった。
そういえば、妻がプリンを作ってくれた。最近、職場の変化変遷のストレスにやられていた私を気遣って作ってくれたのだろう。素直にありがたかった。そうそう、サプライズってこういうものだったね。さて、早起きして眠くなってきたからそろそろ失礼しますね。