自他の現実の差異
月一で総合障がい福祉施設ノーサイドにて授業を行っている。名付けて「ノーサイド大学」である。
フランス語を教えるところから始まったのだが、利用者がアート作品を作っていることもあり、ここ数回はフランス絵画のミニ講義をしている。
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僕の講義は基本的に「知識伝達」ではなく、講義内容をきっかけとした世界の捉え方の刷新が目的だ。本日は絵画作品を通じて「現実」の捉え方を議論した。僕らが目にしている世界は「現実」であり、万人が同じように観察可能なものではあるが、ふとしたきっかけでその像がゆがみ、自身の精神世界が反映する。その際に僕らが見ている「現実」は、固有の特質を帯びる。
他者と同じものを眺めたとして、その印象は個々で異なるゆえに、解釈も固有だ。絵画作品に見て取れる独特な世界は、芸術家と僕らの差異を示している。そのような観点に立てば、芸術作品は自分が見た世界を他者に伝えるための手段だと捉え直すことができるだろう。
あ、短くまとまった。