鴻池朋子 ちゅうがえり アーティゾン美術館 6/23〜10/25
以前、群馬で見た作品はとても大きくて食物と体内がテーマだったのが印象に残っている。
今回も作品は大がかりなものもあるようで楽しみ。
作品は大部屋にほとんど仕切られることなく配置され、ひとつの大きなテーマに向かっているようだ。
部屋の中心にある立体の渦は自然の、生物の、蠢きを感じる。
そこに実際に登る僕たちは客観的に見ると作品にとって血液のような、微生物のような働きなのかもしれない。
展示の中には「大きな目」と「毛皮」がよく出てくる。
その無垢な大きな目はこちらを見つめている。自然がこちらを見つめている。
つやつやした毛並み。生々しい足先。
毛皮に囲まれている自分。死んだ狼たちの息づかいが聞こえてくる。
生命に囲まれた、静かなで賑やかな部屋。
ダミアンハーストの子牛のホルマリン漬けに見た冷たさはない。どこか温かく包まれているような感じさえした。
ただ、毛皮のコートを見たとき、人型をした動物の体毛に少しゾッとした。人間の欲望を見た気がした。
会場に説明はほとんどなく、自分で考え感じることの重要性を実感できる。
自由でドロドロしていて、生き物の鼓動を、大地の大きさを、ボーダレスな思想を感じた。
いつもこの作家の作品を鑑賞したあとは独特な気持ちになる。
でも、「ちゅうがえり」という題名はどういう意味だったんだろうか。
他にもコレクション展など盛りだくさん。
今回アーティゾン美術館は初めて来たが、とても良い!
できたばかりでキレイだし、コレクションもモネからポロックまであって幅広い。
クレーの作品展もよかったし。
おすすめです。