コロナ禍で多発されたリモート動画の理屈じゃないハリウッドのカッコよさに目からウロコポロリ
広告屋として、ポカリスエットの高校生が自撮りしたものを編集したリモートCMが4月の上旬にオンエアされたのはビックリして、早いな〜、やるな〜、そしてクリエイターとして悔しいと思いました。
高校生それぞれに、どういういうシーンをどの角度でどう撮るのかなどの設計を緻密に組み立てて、かなり細かくオーダーしたのだと思いますが、出来上がった映像を見て、そのコントロールがうまくいっていると感じました。みんな楽しそうなのが良いですよね。
バラエティー番組で、あえてリモートで漫才をするというのも見ましたが、こういうのって面白いのは最初だけですよね。
そんな中、お笑いでいうとジャルジャルがリモートでコントをいろいろな視点で表現して、YouTubeにアップしているのですが、それがとっても素晴らしい。
特に「リモート面接でめっちゃふざける奴」は爆笑でした。
この、しつこさがクセになります。このバカバカしさをを30分間やり続けるってすごい。
ジャルジャルのコントや漫才はいつもクリエイティビティーが高くてセンスが良いので、大好きなんですが、こういう世の中の状況をうまくキャッチしてクリエイティブに持っていっていてそれがちゃんと面白いということが素晴らしいんですよね。
リモートドラマでビックリしたのは、企画立案から1ヶ月で放送したというNHKのテレワークドラマ『今だから、新作ドラマ作ってみました』です。
「機材の操作も出演者がするため、操作が簡単で、最小限のセッティングですむ方法を検討した結果、スマートフォン(カメラ)とぽんぽんのついたマイク、スマートフォンを固定する三脚のセットを用意して、出演者のもとに送った。」
というように、俳優の人たちがリアルに自分で撮っているんですね。
そうは見えない本格的な仕上がりでした。
予告編はこちらから▶︎ https://www.youtube.com/watch?v=0Jql2Ecggjs
第1夜「心はホノルル、彼にはピーナツバター」
【出演】満島真之介×前田亜季 【脚本】矢島弘一
3話のうち、これを第1話にしたのは、ビデオチャットでのやり取りが一番オーソドックスだったからですかね。最も本当にありそうなストーリーで、テレワークドラマってこういうことね、ということがよくわかる構成でした。
第2夜「さよならMy Way !!!」
【出演】小日向文世×竹下景子 【脚本】池谷雅夫
これは面白かったな〜。伏線回収が気持ちよくて、一番好きでした。幽霊映画の『ゴースト』や『シックスセンス』インスパイアな感じが楽しくて、なんといってもこの2人の演技がすごかった。
第3夜「転・コウ・生」
【出演】柴咲コウ×ムロツヨシ×高橋一生 【脚本】森下佳子
タイトルロゴの「転」の中にムロツヨシの「ムロ」が入っていたり、「コウ」は柴咲コウだし、「生」は高橋一生だしと、洒落てました。人と人の入れ替わり方は『君の名は』的でしたが、ぼくはこのドラマは大林宣彦監督が亡くなったのことを受けて、名作映画『転校生』のオマージュなんだろうなと思って観ていました。そうだったら素敵ですね。
この全3話を観て、これからのドラマ撮影の可能性を感じまくりました。
リモート映画はというと、短編映画『カメラを止めるな!リモート大作戦』がYouTubeで公開されて話題になりました。
『カメ止め』ファンにはたまらないですね。僕も映画は4回観たので、期待して観て、楽しめました。
30分とはいえ、映画をこの短期間で制作するってすごい行動力ですよね。
インスタグラムにアップされたという、スカーレット・ヨハンソン、キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、マーゴット・ロビーら豪華女優陣が多数参加した1本のリレー動画を今日見て、ぶっ飛びました。
ハリウッド女優たちが殴って蹴ってという映像が続くだけなのですが、それがただただカッコよくて、ずーっと見ていられます。生理的に気持ち良い。
演技もすごいけど編集も素晴らしい。
理屈じゃなくて、コロナ禍で創られたリモート映像としてダントツに良かったです。
目からウロコポロリ
◉こんな時期にこんなに短期間で創ってやるなぁ
◉リモートで撮ったとは思えないクオリティー
◉すごい俳優をよく集めたね
◉観る人たちを勇気づけていて偉いなぁ
これらのことは本当にすごいことですし、ここで書いたリモート動画作品はどれもとても優れていると思っていますが、いつの間にか自分の頭の中で無意識に、あれがすごい、これが大変だっただろうななどと考えながら映像を観ているんですよね。
理屈じゃなくって、観て、感じて、ピュアな気持ちでワクワクする、このハリウッド発のリレー動画を見て思いました。
1970年代、80年代のPARCOやサントリーのCMは、理屈じゃないけどめちゃくちゃカッコいいものが本当に多かった。今日、その時の気持ちを思い出しました。
自分も今だからこそ、そういう理屈じゃなくワクワクして、みんなが元気になるようなクリエイティブを創りたいと改めて思いました。