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デリヘルの闇について皆に伝えたい⑦
アヤカの到着は1時間後になると言われて、すでに2時間半が経過。
30分位であればなんとなく待つことができるが、音沙汰なしで1時間半待たされるということは、さすがに舐められているなと気がつく。
この時点で、悪質な店なのは間違いないのだが、人間は騙されていると言う事実を認めたくないものだ。
このような場合、
「向かっている途中に車が事故にあったのではないか」とか、
「間違った住所を伝えてしまったのではないか」とか、
何かアクシデントが起きてしまったのではないかと自分の感情の逃げ道を求めてしまうが、いずれにしても店から一本連絡がないのはおかしい。
30分以上遅れるのであれば店から一本連絡があってもおかしくない。
確信犯なのは間違いないと考えていると、急に怒りがこみ上げてきた。
なめやがって…。
奥歯に力が入り、首筋の血管が太くなり、店に電話をかけずにはいられなくなった。
「お電話ありがとうございます。ビンビン学園(仮名)です」
「2時間半前にアヤカちゃんを頼んだ範馬ですけど」
自然とドスが効いた口調になった。
「範馬様、お世話になっております。いかがされましたか?」
いかがされました…だ。怒りが今にも器から溢れ出しそうだった。
「あの…。1時間で到着するって言われて、すでに2時間半待ってるんですけど、どんな状況ですか?」
「申し訳ございません。確認しますので少しお待ち下さい」
電話越しの“エリーゼのために”がイライラを少しずつおさめていく。少しでも対応が悪かったら怒鳴り散らしていたかもしれない。相変わらずスタッフの声は優しく透き通っていたから我慢ができた。
「範馬様、お待たせしております。大変申し訳ございません。無料サービスの制服を忘れたことに気がついて待機所に戻ったこともあり到着が遅れているようです」
「それにしても2時間半は待たせすぎじゃないかな。一本電話くれるとか、普通連絡するでしょ」
「大変申し訳ございません。連絡がうまくいってなかったみたいで、今後はこのようなことがないように努めますのでご容赦ください。間もなく到着しますので、もう少しお待ちいただけますでしょうか」
「間もなくってどのくらい?」
「先ほど確認しましたら15分以内には到着すると言っていました。範馬様お待たせして申し訳ございません」
そこまで卑屈になれますか、という対応にすっかり怒りが冷めてしまった。
電話を切り、そもそもなぜデリヘルを呼んでしまったのだろうと振り返る。
スマホの開きっぱなしの記事を閉じていた時に、アルコールが入った状態でアヤカの写真を見てしまったからだ。
冷静な今、アヤカの写真をみるとどう思うだろうと、もう一度写真を確認してみることにした。
1枚目は、制服姿で白いソファに座っている。髪は少しオレンジかかった色で、エフェクトがあまりかかっていないナチュラルな目元。口元はモザイクがかかっているが、赤いリップが印象的だ。
2枚目、3枚目は、スタイルがわかるように白い下着姿で立っている。小さい顔に、胸と腰と尻が整っていて、全体的なバランスがいい。
4枚目は、M開脚で電マを当てている。ベットの上にはいくつかのバイブが散乱している。
長く待った我慢は何か良いことが起こるのではないかという期待に変わっていき、写真を見たことでムラムラが呼び起こされると同時に、やはりアヤカは可愛いに違いがないというイメージが再び出来上がっていった。
勘が良い読者の方は気がついているかもしれませんが、15分でアヤカが来ることはありませんでした…。