連載『オスカルな女たち』
《 あかちゃんはどこから? 》・・・14
「子どもは欲しかった…けど、産もうとは思わなかったってこと?」
自分で産もうとは考えていなかった…という操(みさお)の行動が、織瀬(おりせ)には単純に引っかかったのだろう。
「そういうことなんだろうなぁ。産まなかったのか、産めなかったのか…その辺のことは詳しくは聞いたことないけど。…てか、聞けなかった」
聞けない…それが本音だ。
自分がどこの馬の骨なのか知りたい現実はあった。だが真意を求める上で、操自身に「子どもを産む気はなかった」と告げられてしまっては、それが「自分のせいなのかもしれない」という疑念からそれ以上問い詰めることはできなくなってしまったのだ。
「そう…なんだ」
織瀬には追求したい内容ではあった。だが、それを真実(まこと)に尋ねることは憚られた。
「次の『麻琴(まこと)』は偶然だったんだ。お袋さん…操先生が産婦人科始めて、まだそんなにいなかった産科の患者のうちのひとりだったらしい。あたしの名前を気に入って『同じ名前を付けたい』って言ったんだってさ。そのかぁちゃんはあんまり体が強くなかったのに、旦那が働かないヤツで苦労したって言ってた。その麻琴が、幼稚園に上がるころ『仕事見つけて、必ず迎えに来るから』って言って、病院においてっちゃった」
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