連載『オスカルな女たち』
《 まったくありえない 》・・・16
「今日はなにか…? 忙しいんじゃないの、玲(あきら)」
と、なんの疑いもなく返す。
「あぁ…」
玲もそれ以上の突込みはせず、
「なんだかね…。家の中がピリピリしてるし、仕事が手につかなくて。気分転換に買い物でも…と思って出たんだけれど落ち着かなくて。特に急いでもなかったんだけれど…近くまで来たから寄ってみたのよ」
「まぁ、大変だよね」
週末の玲の様子から気持ちを察するつかさは「そりゃそうだよね」と言葉もない。
「思ったより堪えてるみたい」
玲らしからぬ弱音を吐く。
「それよりつかさはどうなの? 例の彼とは、」
「彼?」
「あのあと。…ずっと気になっていたのよ、ほら…」
そう言って玲はマンションの上階の方を指さした。
「あぁ、圭ちゃん? うん、まぁ」
その仕草で、先日玲のプライベートルームで聞かされた圭慈の話だと理解した。
「電話でするような話でもないし、この間は私のことでそれどころじゃなかったから。…あれから彼とは会ったの? 余計なことだとは思ったけれど、もしこじれてしまったのなら私にも責任があると思って」
玲なりにつかさを心配しての今日の訪問だった。
初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
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