藻

社会人って、どの辺から?

三省堂 大辞林
しゃ かいじん -くわい- [2] 【社会人】
① 学校や家庭などの保護から自立して、実社会で生活する人。 「卒業して-となる」
② (スポーツなどで)プロや学生ではなく、企業に籍を置いていること。
③ 社会を構成している一人の人間。


ということは、ニートやアルバイトは社会人とは言わない…?
じゃ、わたしはあの辺からかな?
離婚して、戸建ての借家に住み出した頃…
高卒で就職している人たちに比べたら、10年も出遅れてる!?

でもわたしには、そのくらいの時間が必要だったんだと思う
アルバイトはたくさんしたけど、どれも期間限定だったし、気楽なものだ
しかもわたしの仕事は、学校の授業と同じ…
サボりながら、やりたくないことを避けながらの、まったく責任感のない
中途半端な子どもの仕事だった

ずぅたいばっかり大きくなって…とはよく言ったもので、わたしは典型的なそういう社会人だったように思う
考えが甘く、無責任で中途半端、仕事を仕事と捉えられないお粗末な社会人
会社にとっては「使えない人材」、むしろいなくてもいい人間だ
そのくせ文句はいっちょ前で、自分のやるべきことをできもせずに、あれも嫌だ、これも嫌だ、挙句に『辞めたい

愚痴ばかりのわたしは、ある時友人に「仕事は覚えたの?」と言われた
当時のわたしは付け焼刃の人材で、引き継ぎもなく当たり前のように投げられた仕事を手探りで、毎日ビクビクビクビク…しながらの仕事だった
だから当然覚えてはいないし、なんとなくなぁなぁにやり過ごしていた
友人のその言葉はハンマーで殴られたような気分だったし、ものすご~く恥ずかしかった(だから、ちょっとむかついた)痛いところをつかれたのだ

それでもなんとなく、どうしようもない日は続いた
投げられない、逃げられない、でも覚悟がない、そんな日々を過ごしていた
が「絶対に『辞めたい』と思わない」と心に誓って過ごしていた
一度『辞めたい』と思ってしまうと、それしか考えられなくなってしまい、当然仕事に身が入らないし、それが目標になっしまうからだ
辞められないなら『辞めたい』と思ってはいけない
辞められないなら『やるしかない』のだ…覚えなければいけない

当時のわたしは母子家庭で、仕事をしなければいけなかった
だから当然、仕事を辞めるわけにはいかない
やりたくないけどやらなければならないことは、覚えなければいけない
そこにたどり着くまで、ちょっと時間がかかった
それまで責任を持って成し遂げたことがなかったから、気づくのが遅かった
実に恥ずかしい、情けないことです

そんな単純なことが解らなかった
解らなかったというよりも「成し遂げる」というカテゴリーが、それまでの人生の中で経験のないことだったので、自分の仕事だと思っていなかった
そう、ここ↗自分の仕事だと思っていなかったというところが問題なのだ
これは子ども時代にありがちな他人任せの甘えだ
本来なら成長過程のどこかで学ぶべきところではあるが、わたしの生活にはその部分が欠如していた
欠如どころかそれでいいとさえ思っていた…実に恥ずべきこと

そこからわたしは、仕事を辞めるための生活に切り替えた
仕事を辞めるには「引継ぎ」をしなければいけない
引継ぎをするには仕事を覚え、教えられるようにならなければいけない
ゆえにわたしの目標は、完璧なマニュアルを作ることになった
それがわたしの社会人になった1年間でたどり着いた答えだった

少々ゆがんではいるが、そこからわたしはちゃんと当たり前のことが出来るようになった
完璧なマニュアルを作れれば辞められる…結果わたしは仕事をマスターした
でも、最終的に仕事を辞めようと思っての行動だったので、そうすることで自分が仕事のできる人間になれたという結果は見えていなかった
人間没頭するとひとつのことしか見えなくなるものだ(←これも後から気づいたこと…いろいろ恥ずかしい)
こういうことって、教わるものじゃないのかな? どこで学ぶんだろ?

わたしの上司はもともとできる人間だったので、教えるのが下手な人だった
「みてれば解るでしょ」って感じで、初見の相手に専門用語を使い、しかも威嚇言語で、一度言われたことに質問を返すと機嫌の悪くなる人だったので、ものすごく神経を使った(結果わたしは帯状疱疹になった)
それを踏まえてわたしは、自分が怒られ…指摘されてものすごく困ったところに力を入れた
わたしの仕事を知らない人にも解るマニュアルを作ろうと思った
それこそ「バカにしてんのか?」ってくらいに、パソコンの電源ボタンを押すところから、画面一つ一つをスクショして、吹き出しをつけ、コメントを入れ、100枚を超えるページで、1日の流れをマニュアル化したのだ
基本、そういうのは好きなんだろうな

ようやく辞めることが決まって引継ぎをするときも、質問を受ければすぐにマニュアルに付け足した
辞めると決まるととても気が楽になり、半年で10キロ太った
仕事してた方がいいのかな?…と、この時ばかりは思ったものだ
そして、辞める3ヶ月前が一番楽しかった
おもしろいことに仕事が楽しいとさえ思っていた自分にびっくりした
けどおそらくわたしにはそういう組織は向いていないと思うので、もう仕事はしなくてもいいと思った
この頃はもう仕事をしなくてもいい事情ができたから

仕事にはやはり得手不得手というのがあると思うし、人付き合いが下手なのに接客とか、パソコンができないのに事務とか、ちゃんと自分のことを知った上で仕事選びをした方がいいように思う(当たり前だけど難しい)
好きこそものの上手なれ…とはいえ、やりたいことが職業にできるかといえばそうでもないし、嫌いなのにうまく立ち回りさくさくこなせてしまうこともあると思う

選ぶのは自分だけど、雇う側にも数うちゃ当たるじゃダメだなと思った
スポーツ業界とかだと、陸上選手を相撲取りにしたり、水泳選手を槍投げに転向させたり、見出してくれる人がいるけど、仕事の場合はどうなのかな
自分で気づける人はいいけど、気づけない人は具合悪くなるだけかな
それはちょっと悲しいな

あ、また長くなっちゃったな
わたしの情けなくて恥ずかしい人生だけど、それなりに思うところもあり、そういうところが上手に伝えられてたらいいな…と思います

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです