連載『オスカルな女たち』
《 孤独な闘い 》・・・10
佑介に補導されたヤンキー娘が、あろうことか佑介に一目惚れ、本人曰く「たぶらかされた」と訴え、挙句の果てに逆恨みして医院で暴れてひと騒動と、奇妙な再会劇だった。すっかりと忘れていた思い出したくない因縁の過去だ。
「おねーさん。再婚しないなら、なんで佑介とヨリ戻してあげないの? 佑介、あんなに真実(まこと)ちゃんのこと大好きなのに…」
(呼び捨てかよ…)
「おまえには関係ない。その、おねーさんとか真実ちゃんとか、やめろよ」
「やーだ、さっきまで敬語だったのにぃ。急に『おまえ』とかときめく~」
「あほか。さっさと帰れ」
デスクのライトを消して立ち上がる。
「相変わらずなんだな~真実ちゃんは。…じゃ、また来週お願いしま~す」
(語尾を伸ばすな、語尾を…!)
「来週も来るのか…?」
出産を控えているのだから当然だ。どうにも、真実の身辺に静けさが訪れることはないらしい。
「おい。操(みさお)先生に挨拶していけ、奥にいるから」
「は~い」
後ろ姿を見送り、大きく息を吐く。
「よし、今日はカレーだ」
なにかあると真実はいつもカレーでリセットする。
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